2016年3月4日、経済産業省は「ローカルベンチマーク」を策定しました。「企業の健康診断ツール」として、経営指標の分析が簡単にできます。
説明のポイント
- 経済産業省が策定した無料の診断ツール
- 簡単なExcelで誰でも診断できる
- 診断をもとに、企業をどうよくしていくかを考えることがポイント
ローカルベンチマークとは
「ローカルベンチマーク」とは、財務情報と非財務情報のデータをもとに、企業の経営状態を把握するためのツールです。
ローカルベンチマークは、企業の経営状態の把握、いわゆる「健康診断」を行うツール(道具)として、企業の経営者等や金融機関・支援機関等が、企業の状態を把握し、双方が同じ目線で対話を行うための基本的な枠組みであり、事業性評価の「入口」として活用されることが期待されるものです。
具体的には、「参考ツール」を活用して、「財務情報」(6つの指標※1)と「非財務情報」(4つの視点※2)に関する各データを入力することにより、企業の経営状態を把握することで経営状態の変化に早めに気付き、早期の対話や支援につなげていくものです。
通称は「ロカベン」だそうです。……わざわざ言うのもヤボですが、ツッコミを待っていますよね?
ツールは以下のサイトからダウンロードできます。
サイト:ローカルベンチマーク(通称:ロカベン)(経済産業省)
こんな感じのツールです
財務分析
このツールはExcelで作られており、難しく感じることは少ないでしょう。
トップページは、財務分析の診断結果が表示されます。財務の指標が6項目のチャートで表示されるため、視覚的に見やすいです。同業と比較した数値から点数が与えられて、総合評価点も表示されます。
診断結果を得るためには、別のシートで数字を入力します。
黄色のセルに数値を入力すると、スコアなどの結果が表示されます。入力項目は少なく、診断を得るまでのストレスも感じません。
財務指標の比較対象となる数値は、小規模事業者を除いた非上場企業です。数値は、帝国データバンクが提供しています。
非財務ヒヤリング
非財務のヒヤリングシートは、「経営者」「関係者」「事業」「内部管理体制」の4項目に着目して分析します。
この部分は、数字による診断ではなく、自分でシートに記入することで状態を把握していくしくみです。
ヒヤリングシート(1)では、「経営者への着目」「事業への着目」「関係者への着目・企業を取り巻く環境」「内部管理体制への着目」の4項目を分析します。
ヒヤリングシート(2)では、「製品製造、サービス提供における業務フローと差別化ポイント」「商流把握」を分析します。
実際に使ってみるには?
ローカルベンチマークは、下記の経済産業省のサイトから、無料でダウンロードできます。
サイト:ローカルベンチマーク(通称:ロカベン)(経済産業省)
「ローカルベンチマークツール」というExcelファイルをダウンロードします。短めの簡単なマニュアルも、その下にあります。使用前に読んでおくといいでしょう。
参考情報として、実験的にツールを使用した結果も公表されています。
参考:地域企業 評価手法・評価指標検討会(第7回)‐配布資料(METI/経済産業省)
追記:
2016年7月に施行される中小企業等経営強化法に関する説明資料として「【PDF】ローカルベンチマークについて」が公開されています。
どのようなツールかを把握できる、まとまった資料になっています。
参考:類似の分析ツールもある
ローカルベンチマークの他にも、経営診断ツールとして「経営自己診断システム」もよく知られています。
独立行政法人中小企業基盤整備機構が提供するツールであり、無料で提供されています。こちらのツールは、ローカルベンチマークよりも、もっと詳しい指標の分析が見られます。
参考:[経営自己診断システム](中小機構)
まとめ
経済産業省が策定したシンプルな分析ツール「ローカルベンチマーク」を紹介しました。
ツールは検討のための「たたき台」であり、その分析結果をどう活用するのかが重要です。経営の指標も、一時的な状況を切り取ったものであって、不変ではありません。
このツールは、企業を支援する組織(金融機関、支援機関、会計事務所)の利用を想定して作られたとのことですが、難しさは感じない、シンプルなつくりです。このツールをたたき台にして、会社の問題点の解決方法を考えましょう。
財務諸表や企業の状況を可視化できる無料のツールとして、このローカルベンチマークは役立ちます。