「電気通信利用役務の提供」は、消費税の税務でも微妙にやっかいな処理です。制度変更から5年以上が経過し、実務に定着してきた印象もありますが、それでも微妙な点があります。
このブログでは、この「微妙さ」を述べてみたいと思います。今回は、電子書籍を購入した場合の処理についてです。
説明のポイント
- Amazonの電子書籍(AmazonKindle)は、海外からの配信に該当。領収書ではなく「支払い明細書」に、登録番号の記載がある
- 楽天ブックスの電子書籍(楽天Kobo)は、海外からの配信に該当していたが、最近は国内からの配信に切り替わっている
事業用に電子書籍を買うこともめずらしくない
当ブログでは登録国外事業者の制度について、【1】概要、【2】宿泊側目線の海外ホテル予約サイトをもとに述べてきました。
今回の【3】は、電子書籍の配信についてです。そこまでめずらしい情報ではないのですが、ちょっと気になる点があったので、留意点として整理しておくこととしました。
AmazonKindleの登録番号は「支払い明細書」にある
Amazonで電子書籍を購入し、領収書を表示してみても、登録国外事業者番号の記載がどこにもないことに気づきます。
「国税庁の登録リストには載っているのに……」と思うところですが、よく調べてみると、登録番号は「支払い明細書」という別の書類に載っていることがわかります。
注文履歴から「領収書等 → 請求書」をクリックします。(※「領収書/購入明細書」ではありません)
すると、次のような明細書が表示されます。登録番号は00003です。
ちなみに、なぜ領収書ではなく、「支払い明細書」で表示されるのかは、筆者もよくわかりません。
Amazonがインターネット上で発行する「領収書」では、税込の総額だけが表示されています。
一方、税抜と消費税の内訳は「支払い明細書」に載っています。これは電子書籍だけでなく、通常の購入でも同じです。
楽天Koboは、国内からの配信に変わった?
楽天といえば、知らない人はいない国内ECの雄ですが、電子書籍の配信についてはカナダのKoboを買収したことで、海外から行われてきました。
このため、楽天ブックスの電子書籍を購入すると、表示できる領収書は「Rakuten Kobo Inc.」からのもので、登録国外事業者番号(00043)の表示もありました。
しかし、最近になって楽天ブックスで電子書籍を購入してみたところ、登録国外事業者の表示はなくなり、国内の「楽天グループ株式会社」からの配信に切り替わっていました。
国内からの配信に変わった時期は不明ですが、上の領収書を見てもわかるとおり、2020年~2021年のあいだであることは間違いないようです。
とりあえず、楽天ブックスの電子書籍については、登録国外事業者番号の考慮は不要になっています。
まとめ
電子書籍を販売するAmazonと楽天について、登録国外事業者の登録番号がどこにあるのかを整理してみました。
なぜこのようなことを気にしているかというと、仕入税額控除のためには、帳簿に登録番号の記載が必要だからです。
Amazonは「支払い明細書」に登録番号があります。一方、楽天については、海外から国内の配信に切り替わっており、この点の配慮は不要になっています。