前回の記事の補足です。先に「中間申告の納付情報をe-Taxのメッセージボックスに自動登録しない理由は」からお読みください。
前回の記事の要点
前回の記事で、事務の負担軽減目的と申告納税方式を維持するギリギリの境界として、e-Taxのメッセージボックスに届くお知らせからの「参照作成」(自動転記)という方式が用意された、と述べました。
そんなの想像では?と思われる可能性もあるので、補足として意見を補強する材料を付け加えておくものです。
e-Taxソフトでは「中間申告書の提出→納税」が前提だった
ほとんど注目されたことのない機能ですが、e-Taxソフト(インストール版)では、中間申告(予定申告)のお知らせから、「中間申告書(予定申告書)」の参照作成が可能でした。
ややこしいのですが、納付情報登録依頼を作成するのではなく、中間申告書を参照作成する機能です。
e-Taxソフトのマニュアルにある該当の部分を転載しておきます。
そもそものe-Taxの処理で想定されていたのは、中間申告書(予定申告書)を提出したあとで、納税する流れだったことがうかがえます。
なお、e-Taxソフト(ダウンロード版)では、お知らせから納付情報登録依頼を作成する機能はありません。この点を考えると、「お知らせ参照作成」による「みなし納付」(中間申告書は提出しないで納税だけすること)は、当初は想定されていなかったように思われます。
これが2024年になってe-Taxソフト(WEB版)に、お知らせ参照作成によるみなし納付の機能が備わったのは、国税庁が「令和7(2025)年度までにキャッシュレス納付割合を4割とする目標」(「国税庁レポート2024」P.17)を掲げており、紙の手続きを減らす必要性があり、実務を優先したためとも想像されます。
加算税では自動で納付情報がメッセージボックスに登録されるらしい
筆者は未経験ですが、国税庁e-Taxホームページの案内によると、処分通知(加算税)の電子通知を希望した場合には、その加算税の電子納付の方法として、納付情報が自動でメッセージボックスに登録されるそうです。
※ キャッシュレス納付については、メッセージボックスに格納される「加算税の賦課決定通知に係る納付区分番号通知」により手続が可能となっております。
実際のところ、加算税の処分通知を電子通知で受け取っている人は、現在でもあまりいないと思われます。
気になる点として、税理士のメッセージボックスでは通知が見らないという支障があります。ある税務ソフトのヘルプでは「現状の仕組みだとデメリットの方が大きい」と酷評されています。
話が逸れましたが、このしくみで注目されるのは、賦課決定に関する通知については納付情報が自動でメッセージボックスに登録される、ということです。
ということは、中間申告に関する納付情報も自動でメッセージボックスに登録しようと思えばできるはずだが、わざわざそうはせずに「お知らせ参照作成」からの転記をさせることにした、と想像されます。
賦課課税ではなく、申告納税であることのギリギリのラインが見えるように思われます。
行政指導の文書からの転記だが……
税務署から届く「中間申告(予定申告)のお知らせ」には、
この文書は、行政指導として送信しているものであり、その責任者は表記の税務署長です。
とあります。
「お知らせ参照作成」は、この行政文書をもとに納税額を転記して、納税しているわけです。
従来は、あらかじめ納付額が印刷された紙の納付書を金融機関に持ち込んでいました。税額が納付書にあらかじめ書いてあったことに文句をつける人はいないと思われます。
「お知らせ参照作成」は行政指導の文書からの自動転記になりますが、手続き上の点で異論はあるのでしょうか。
申告納税方式に関する詳細な知見を筆者は持ち合わせていませんが、行政指導の文書である「お知らせ」から納税額を転記したのは納税者なのだから、これは納税者の問題ということで、問題なしということなのでしょうか。興味深いところです。