【ついに引下げ】倒産防止共済の前納減額率、0.5%→0.09%に

中小機構は2017年8月21日、倒産防止共済(経営セーフティ共済)の前納減額金について、減額率を引き下げたことを発表しました。

中小企業倒産防止共済法施行規則の改正によるものです。

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倒産防止共済(経営セーフティ共済)とは

中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)とは、あらかじめ掛金を積み立てておくことで、不測の事態に備えるための共済制度です。

運営は、独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)が行っています。ほぼ公的な共済制度と考えてよいでしょう。

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)

共済に加入すると、あらかじめ積み立てておいた掛金をもとに、いざというときに、共済金の貸付が受けられます。これにより、資金不足による倒産を防止するというしくみになっています。

なお、この共済は法人だけでなく、個人事業主でも加入できます。

この共済が一般に魅力的とされているのは、積み立て時の掛金が全額損金(経費)となるため、税負担を減らしたいときの「節税策」として活用されているためです。

ただし、共済解約時の手当金は、その全額が益金(収入)として課税されます。お金が戻ってきた場合は、もとどおりの税負担が生じるということです。

つまり、「節税」というよりも、一時的に税負担を先送り(繰り延べ)できるもの、という認識のほうが正しいでしょう。

また、税負担(キャッシュの負担)を減らしたかったはずなのに、掛金を払った分だけ、手元からキャッシュが減っていることも忘れないようにしたいものです。

前納減額金の減額率はある意味すごかった

この倒産防止共済には、隠れたオトクな制度がありました。

それは「前納減額金」というもので、掛金を将来の納付分まで前払いすると、その前払いの分に応じた一定割合をキャッシュバックしてくれるという制度です。

こうした制度自体は、たとえば国民年金保険料の「前納」でも見られるとおりで、特にめずらしいものではありません。

この「前納減額金」がめずらしいのは、そのキャッシュバックの割合です。

これまで前納減額金は、月あたりで0.5%のキャッシュバックという割合でした。年率に換算すると6%(!)の大盤振る舞いです。

引用した下記の例(改正前)を見ても、8万円を11ヶ月分前納すると、26,400円(掛金の3%)という前納減額金が支給されていました。

前納減額金(前納による割引金)の算出方法

引用:経営セーフティ共済の前納減額金(中小機構)

引き下げの理由は?

しかし、2017年8月21日より前納減額金の減額率は、月あたり0.09%に引き下げられました(参考)。年率換算では1.08%です。

引き下げられた理由は、共済金の運用状況における前納減額金の負担が大きくなっており、大きな赤字要因であるためとされています。

この減額率は、共済制度の創設以来、これまで一度も変更されていなかったそうです。年率6%もキャッシュバックをしていれば、そりゃ赤字にもなるだろう……と思わず納得してしまいます。

また、倒産防止共済については、平成23年の制度改正以降、掛金の積立限度額が320万円から800万円に、また、月額掛金の上限額が8万円から20万円に引き上げられています。

これが加入者数の増加に寄与しており、前納減額金の支給の増加に大きく影響していたようです。

この件については、以前より中小企業庁から発表されていた資料等でも、見直しについて触れられていました。

参考

  • 【PDF】中小企業倒産防止共済制度の見直しの検討について(中小企業庁、2016年12月)
  • 【PDF】中小企業倒産防止共済制度の今後のあり方について(案)(中小企業政策審議会、2017年3月)

まとめ

倒産防止共済(経営セーフティ共済)の前納減額金について、減額率が引き下げられたことをお知らせしました。

ちょっとオトクな制度でしたが、今回の改正により、いたって普通の減額率になった印象です。なお、この減額率は、小規模企業共済の減額率と全く同じになっています。

余談ですが、中小企業庁の資料を見ると、共済の新規加入者のうち48%が月額の掛金で20万円を選択しているそうです。これもなかなか強烈な話ですね。

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