個人の開業届は、税務署だけじゃなく、都道府県にも提出しますよ

え? 都道府県にも開業届を出すの? ――この話、意外に知らないひとが多くいるので、説明しておきます。

説明のポイント

  • 個人事業を始めた! でも、税務署に開業届を出して終わりじゃない
  • 都道府県の役所にも開業届を提出する
  • 個人事業税という税金がかかるため
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開業届の提出先は税務署だけじゃない!

個人事業を始めると、提出するのが「開業届」と「所得税の青色申告承認申請書」です。これらの書類は、税務署に提出します。

ここまでは、よく知られている話でしょう。

では、あまりよく知られていない話というのは、開業届は都道府県にも提出するんですよ~ということです。

都道府県といっても、実際には「都道府県の税金関係の役所」に提出します。

例えば東京都の場合は、都税事務所に提出します。小池知事に手渡しにいっても、ご多忙なので受け取ってはもらえません(笑)

なんで提出が必要なの?

個人事業には、国(税務署)に納める税金として、

  • 所得税
  • 消費税

が発生します。これらはおなじみの税金でしょう。

この他に、都道府県に納めるものとして「個人事業税」という税金もあるのです。

事業税は都道府県に納める税金ですので、都道府県の役所にも、わざわざ開業届を出す必要があるわけです。

事業をしていたら、事業税がかかる! という厳しい事実。

これまでサラリーマンだった場合は、個人事業税などは一切関係のない税金ですので、なじみがないのも当然の話です。

都道府県の開業届ってどんなもの?

都道府県に提出する開業届って、どんなものでしょうか? 東京都の例で見てみましょう。

「個人事業税」のページから、記入用の様式をダウンロードできます。

記入例を見てみましょう。

個人事業税の開業届

これを見ると、税務署に提出した開業届よりもシンプルです。

「開業時の人数は何人だ」とか、「事業の内容を具体的に書け」とか、そのようなネチネチした質問はいっさいありません。

とはいえ、「税務署に開業届を提出したんだから、もういいだろ!(怒)」という意見も聞こえてきそうです。

まあ、たしかにおっしゃるとおりで、不便ですね。なんとかならないのでしょうか。

うわ、出し忘れていたわ……

個人事業税なんぞまったく知らず、税務署に提出しただけで安心していた……という方も多いようです。

というか、個人事業税の開業届をキチンと出している人のほうが、実はレアケースかもしれません。

そんな実情もありそうなので、あなたが開業届を出し忘れていても、まあ大丈夫かも(?)。都道府県のほうから開業の情報を察知して、課税してきます。

都道府県はどこで開業を察知している?

開業届をうっかり忘れたとして、都道府県はどうやって開業を察知するのかを考えてみましょう。

所得税の確定申告書においては、第2表の記入欄に、事業税に関する開業の記入欄があります。

確定申告書の事業税の記入欄

この記入欄、あまりにも地味すぎて、まったく気にしていない人も多そうです。

ましてや、個人事業税の開業届を出していない人が、この記入欄にキチンと書いている可能性はかなり低そう……。

というわけで、都道府県の役所では、確定申告書で「事業所得」の金額があるひとを対象に、「個人事業税」の課税の可能性をサーチしているフシがうかがえます。

このため、ある日突然、都道府県の役所から「事業についてのお尋ね」などという封筒が届くこともあります。

そのお尋ねの内容は、

「あなたの事業を詳しく教えてください。事業によっては個人事業税がかかりますんで」

といった感じのものです。

まとめ

超絶レベルで「どマイナー」な話題、個人事業税の開業届についてお伝えしました。

この開業届、筆者はあまりキチンと提出している事例に出会ったことがないのですが、実情はどうなんですかね?

個人事業税について詳しく知りたい場合は、東京都主税局のページが詳しいです。

参考:個人事業税(東京都主税局)

マニアックな余談

個人事業税の開業届ですが、その根拠となる条文は「地方税法」ではなく、都道府県の条例がベースのようです。

東京都の場合、「東京都都税条例」の第26条に「事業税の納税義務者は、事業を開始し……た場合においては、その事業を開始し……た日から十五日以内に次に掲げる事項を知事に申告しなければならない」という記載があります。

開業から15日以内って……厳しいですね!

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