所得情報や税情報とリンクしている社会保障制度の一覧表

多くの人は、年末調整や確定申告の結果により、その年の所得や税金が確定します。その情報を活用している社会保障制度をまとめた一覧表があったので、ご紹介します。

説明のポイント

  • 所得や税の情報を利用している社会保障制度の一覧表
  • 総務省自治税務局(2018年4月)作成資料の「未定稿」
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所得情報・税情報とリンクする社会保障制度

国や地方公共団体が提供する社会保障制度は、所得や、負担している税額を基準としているものが多数あります。

よく知られたものは、無職の人や、個人事業主が負担する「国民健康保険料(国民健康保険税ともいう)」でしょう。これは所得をもとに保険料が決まるしくみになっています。

このほかにも、子育て世代であれば、保育料の算定も気になるところでしょう。「節税すれば保育料も下がる!」という記事を見つけることは難しくありません。

これらの所得や税の情報が社会保障制度に活用されているのは、その本人が「コストをどれだけ負担できるか?」ということの判断材料になるためです。

高所得であったり、たくさん納税しているひとほど、「コストを負担する余裕がある」と判断されるわけです。

社会保障制度の一覧表

所得・税と社会保障制度がリンクしていることは意識しているものの、それがどれだけの範囲に及んでいるのかという実態を知っている人は、そうはいないでしょう。

その点を整理した一覧表を、2018年4月25日に総務省で開催された「平成30年4月25日開催 全国都道府県財政課長・市町村担当課長合同会議」の資料で読むことができます。

その資料を引用します。

引用平成30年4月25日開催 全国都道府県財政課長・市町村担当課長合同会議(総務省自治税務局作成、宮城県ホームページにて掲載)資料7

あまりに多くの制度があって、めまいがしそうです。

資料の右上に「未定稿」とありますが、その後の確定稿があるのかは不明です。「未定稿」という名前がつけられていることからもわかるとおり、これらのような情報が整理された資料はめったに存在しないともいえるでしょう。

なお、税理士としての筆者の率直な意見をいいますと、さじを投げて申し訳ないのですが、これらの社会保障制度をすべて把握したうえで所得や税のアドバイスをできる自信はありません。

国民健康保険料や医療費の自己負担割合などは、確定申告における要注意項目として知られます。筆者も、似たような件を以前に注意喚起の記事にしたことがあります。

国民健康保険や健康保険組合に加入している人について、上場株式等の申告で注意すべき事例を紹介します。 ...

しかし、これらの社会保障制度は自治体ごとに基準が異なるものもあったりと、すべてを正確に把握することは困難をきわめます。

筆者がこの資料を存在を知ったのは、土居丈朗教授の書かれた「所得税の控除見直しが社会保障制度に波及」(2019年1月)において、この資料が引用されていたことによります。

土居教授は、税制改正による控除見直しを社会保障制度にも適切に反映させないと「相対的に低所得者に社会保障制度で負担増が生じる」という点を気にされています。

この点については、総務省自治税務局が同時期に発表した「平成31年度地方税制改正・地方税務行政の運営に当たっての 留意事項等について」において、この点を適切に対応することが項目としてあげられています(資料23ページ)。

なお、リストでの集計ではありませんが、2017年度の政府税制調査会においても、この点の議論があったようです。

収入に比例するコスト負担が図で表示されてわかりやすいので、こちらもあわせて掲載しておきます。

引用第16回税制調査会(2017年11月20日)資料(内閣府)

まとめ

所得や税の情報を利用している社会保障制度の一覧表というめずらしい資料があることを知ったので、そのメモとしてブログに投稿しました。

所得や税の情報がどこまで影響しているのかという点で興味深く、筆者が従来から気になっていたことがドンピシャで整理されたものだったので、知識共有としてお伝えしました。

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