eLTAXの給与支払報告書マニュアル(新版)は活用できるか

地方税の電子申告(eLTAX・エルタックス)を利用した、新しい給与支払報告書の提出マニュアルが公表されました。

eLTAXを初めて扱う事業主に向けて、このマニュアルを紹介します。

説明のポイント

  • 給与支払報告書をeLTAXで提出すれば、源泉徴収票は提出不要
  • eLTAXの利用マニュアルの新版が公表された
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eLTAXについて

このブログではすでに何度も紹介していますが、eLTAXとは、地方税の電子申告システムです。

eltaxのロゴ

国税庁に電子申告する場合は、e-Tax(イータックス)というシステムを使いますが、地方公共団体に電子申告する場合は、地方税専用のシステムであるeLTAXを利用します。

給与支払報告書の提出マニュアル

そんなeLTAXについて、給与支払報告書を電子申告で提出するための公式マニュアルが、2017年12月26日に公表されました。

参照:給与支払報告書及び源泉徴収票電子的提出一元化ガイドブックの掲載について

給与支払報告書及び源泉徴収票 電子的提出一元化 ガイドブック

マニュアル名は「給与支払報告書及び源泉徴収票電子的提出一元化ガイドブック」です。

もともと、給与支払報告書のマニュアルはありましたが、今回は「電子的提出一元化」に対応した新版になっています。

「一元化」とは?

マニュアルの名前を見ると、不思議に感じる部分があります。

「給与支払報告書」はわかるとして、「源泉徴収票電子的提出一元化」とは何でしょうか?

実は2017年1月から、給与支払報告書をeLTAXで提出した場合は、税務署に源泉徴収票を提出することは不要、という制度ができました。これを、「提出一元化」と呼んでいます。

eltaxで源泉徴収票が提出不要になる図

「一元化」が実施された理由は、給与支払報告書と源泉徴収票がほとんど同じ書類だからです。

似たような書類を2回提出するよりも、1回で済ませられるように統合した制度が「一元化」ということです。

ただし、残念なことに、この一元化が実施されたのは、eLTAXで給与支払報告書を提出した場合に限ります。

給与支払報告書を紙で提出している場合は、従来どおり、

  • 各市区町村に「給与支払報告書」
  • 税務署に「源泉徴収票」

を両方ともに提出します。この新制度は、以前の記事で紹介しました。

国税庁は、給与支払報告書と源泉徴収票の電子的提出の一元化について、情報を公表しました。来年(...

eLTAXは使いにくい

一元化のためにeLTAXでやってみようか……という話ですが、そうは問屋がなんとやらです。

このブログで以前からお伝えしてきたことですが、eLTAXにアクセスするための税務ソフト「PCdesk」は、ユーザーフレンドリーではありません。

このため、年1回の提出のために、使いづらいPCdeskを利用して給与支払報告書を提出することは、事業主にとって非常に重い負担になってしまいます。

「えー、でもマニュアルがあるんでしょ。大丈夫じゃん?」という気もしますが、ソフトの操作性が悪いうえに、マニュアルは145ページに及びます。

図入りの解説のため、このようなボリュームになってしまうのはしかたないでしょう。

とはいえ、これでは読んでいるうちに日が暮れてしまいます。それだったら、普通に紙で提出したほうが、たぶんマシ……ということになってしまいます。

eltax給与支払報告書マニュアル表紙

おすすめできるのは?

紹介するといいながら、eLTAXのデメリットばかりをやたら並べてしまいました。

では、メリットを感じられるとしたら、どんな場合でしょうか。

筆者が考えるところ、eLTAX(PCdesk)で給与支払報告書の提出をおすすめできる事業主は、次の条件がそろった場合です。

  • 基本的な税務の用語を理解できる経理担当がいること
  • 担当者が、パソコンの操作に慣れていること
  • 従業員が20名以上いること
  • 給与ソフトから給与支払報告書に対応したCSVがダウンロードできること

また、給与ソフトからCSVが出力できない場合でも、従業員が少数であれば、直接、ソフトに手入力してしまうのもアリでしょう。

インポートするための給与支払報告書CSVですが、例えば、MFクラウド給与を使っている場合は、メニューの「年末調整>他ソフトで年末調整計算」からCSVを出力できます。

CSVのインポート方法は、マニュアルの91ページ以降に記載されています。

MFクラウド給与 他ソフトで年末調整

MFクラウド給与 他ソフトで年末調整でeLTAX

人事労務freeeを利用している場合は、給与ソフトの内部から給与支払報告書をeLTAXあてに送信できるとされており、PCdeskの利用は不要ということになります。(参考

留意点

顧問税理士がいる場合は、すでにeLTAXのアカウントを取得済みの可能性が高いです。

その理由は、決算(法人住民税・法人事業税)の電子申告のために、顧問税理士がeLTAXをすでに利用しているからです。アカウントについて、まずは顧問税理士に聞いてみましょう。

マニュアルでは、アカウントの取得についても説明されています。もし顧問税理士とアカウントを共有できれば、マニュアルの15ページ~41ページ「利用届出(新規)の流れ」は、省略できます。

また、給与支払報告書の提出にあたっては、電子証明書が必要です。マニュアルの10ページ目に記載があります。

もし小規模な企業であれば、社長のマイナンバーカードとICカードリーダーでよいでしょう。

まとめ

「どうしても、給与支払報告書をeLTAXで提出したい!」という、意欲的な事業主にさまに向けて、提出マニュアルが公表されたことと、その留意点を説明しました。

参照:給与支払報告書及び源泉徴収票電子的提出一元化ガイドブックの掲載について

また、eLTAXの公式税務ソフトであるPCdeskには、ナビゲーション機能がついています。マニュアルとあわせて参照しつつ手順を進めることをおすすめします。

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