GMOの電子契約Agree、自社あての電子文書にタイムスタンプを押してもOK(無料)

電子文書が存在したことを示すタイムスタンプ。このタイムスタンプを、個人事業主やミニビジネスでも気軽に使える方法がありますので、ご紹介します。

説明のポイント

  • タイムスタンプで電子文書の証拠力を高める
  • 電子契約サービスを使って、自社用の文書にタイムスタンプを押す
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確実に文書が存在したことを証明したい

このブログの筆者は税理士です。

職業柄、つねに念頭にあるのは「これで税務調査に対抗できるのか?」という点です。

例えば、税務上リスクが生じそうな事柄がある場合は、企業内でしっかり記録を残しておくことが重要です。

では、その記録をどうやって残すのか。

PC内にファイルを保管しても、そのファイルに付された作成時刻は、フリーソフトで書き換えることができますので、信頼度が高いとはいえません。

また、紙に印刷しても、作成された時点を確実に証明することはできません。その書類は、あとづけで作ったかもしれないわけです。

タイムスタンプを使えば、存在を証明できる

こうした時に力強いサービスが「タイムスタンプ」です。

電子文書の広まりとともに耳にする言葉ですが、いったいどういう技術なのでしょうか? 総務省のサイトから引用しましょう。

ある時刻にその電子データが存在していたことと、それ以降改ざんされていないことを証明する技術。タイムスタンプに記載されている情報とオリジナルの電子データから得られる情報を比較することで、タイムスタンプの付された時刻から改ざんされていないことを確実かつ簡単に確認することができます。

引用国民のための情報セキュリティサイト(総務省)

ここで引用したとおり、要点は2つです。

  • 電子文書がその時間に存在したことの証明
  • 改ざんされていないことの証明

この証明をできるのが、タイムスタンプという技術です。

タイムスタンプは、ネット上で提供されたサービスを通じて押印され、その検証などもすべてネット経由になります。

タイムスタンプの信頼性をよく理解したい場合は、総務省のサイトを参照してください。

とくに、【PDF】「平成28年度 電子文書の保管におけるタイムスタンプの利用状況に関する調査報告」は、概要をつかむのにおすすめです。

タイムスタンプを「ちょっとだけ使いたい」ニーズ

タイムスタンプを押せば、電子文書の信頼度が高まるわけです。その信頼度は、たんに印刷した紙の文書よりもはるかに高いといえます。

ところが、そのタイムスタンプを利用するサービスについては、高額ではないものの、有料であることがほとんどです。

うちの企業は、文書の電子化には取り組んでいない。特許や紛争に備えることもほとんどない。ただ、文書に証拠力を高めるため、ちょっとだけタイムスタンプを使いたい……

こうしたニーズもあるはずですが、ミニビジネスでもお手軽に使えそうなものは、筆者が探した限り、見つかりませんでした。

そうするといままでどおり、紙の文書に出力して「確定日付」(公証人が私書証書に日付のある印章を押して日付を証明したもの)をもらうしかないのでしょうか?

電子契約でタイムスタンプを押す

筆者がふと気づいたのが、電子契約のサービスです。

電子契約は本来、AとBという他者どうしが、ネット上で契約できるサービスです。

下の画像は、GMOが提供する電子契約サービス「Agree」のイメージです。データをアップロードし、契約にサインしてもらいたい相手にメールを送り、署名してもらいます。

つまり、本来の用途は、AとBの2者が存在するサービスです。

gmo-agreeのフロー

これを、電子文書をアップロードした人物(Aさん)が、そのまま自分あて(Aさんあて)にメールを送り、自分でサインすることで、電子文書の存在を証明できると考えました。

自分で自分にメールを送っているので、なんか変な処理ですが、電子署名とタイムスタンプを付すことはできます。

ちなみにAgreeであれば、個人事業主やミニビジネスでも無料で利用できて、GMOクラウド社の電子署名とタイムスタンプが付されます。

この点は、以前の記事で紹介しました。

電子契約を手軽に始められるサービスとして、「Agree」を紹介します。 電子契約を利用...

Agreeの回答は「利用OK」

gmoagreeサイト画面

こうした利用方法は、本来は想定外のはずです。

電子契約のサービスなのに、自社の電子文書管理の目的で利用しているからです。(しかも自己あての電子契約)

「電子契約でもないのに、タイムスタンプ目当てで使ってもいいのだろうか……?」

さすがに気がひけるので、GMOクラウド社の担当者さんに確認しました。その確認の結果では、こうした利用方法でも問題ない、との回答を得ました。

Agreeは、電子契約のみならず、電子文書の管理も含むサービスで提供されています。こうした意味で、親和性の高い利用方法といえます。

ただし、Agreeの電子文書管理は、PDFをアップロードしただけでは、タイムスタンプは付されません。

いまのところは「電子契約」という手段でのみ、タイムスタンプを押すことができるようです。

Agreeのサービスは無料から利用できますが、多数の電子契約や電子文書管理を利用する場合は有料となります。

ちょっとだけタイムスタンプを使いたいというニーズでは、無料で利用できるといえるでしょう。

gmoagree認印版の画面

まとめ

タイムスタンプをお手軽にできる方法を探しており、その結果たどり着いたのが電子契約のAgreeを使った方法でした。

自社の電子文書のために、あえて「電子契約」を使うという方法ですが、Agreeさんからは「OK」をいただけたので、この方法が使えることをお伝えしておきます。

例えば、社内で重要な決定をした場合に、その文書にタイムスタンプを押しておくことで、証拠力を高めることができるでしょう。

確定日付を取るのは、税務でも用いられる方法ですが、これをタイムスタンプに置き換えることもできるでしょう。

この記事は、電子帳簿保存法における「国税関係帳簿書類」や「電子取引にかかる電磁的記録」に含まれない電子文書を想定しています。

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