令和3年度税制改正により、電子帳簿保存法の抜本改正が行われます。これにあたり、国税庁から提供されている一問一答(Q&A)も改訂が行われました。
Q&Aを考察し、その理解を深めるための記事です。6回目は、電子取引における「索引簿」について考えます。
説明のポイント
- 検索要件を満たすための「索引簿」
- COMの保存要件の流用か?
突如現れた「索引簿」の例示
国税庁が提供する電子帳簿保存法一問一答「電子取引」の令和3年版において、とりわけ目を惹くのは、検索要件をどのように満たすかという点であり、その一案として「索引簿」という方法が提示されたことでしょう。
電子取引における検索要件については、かねてより、どのように満たすべきか疑問が多かったわけです。
しかし、紙への出力が廃止されたことにより、その保存方法を詳しく説明する必要が生じたものと思われます。
索引簿の由来はCOMの保存要件?
電子帳簿保存法における「索引簿」といえば、以前から存在していたのは、COMにおける保存要件です。
当該電子計算機出力マイクロフィルムの保存に併せて、国税関係帳簿の種類及び取引年月日その他の日付を特定することによりこれらに対応する電子計算機出力マイクロフィルムを探し出すことができる索引簿の備付けを行うこと。(新施行規則5条5項)
もし索引簿がなければ、多数あるフィルムをあとで探し出すことも難しいと予想されますので、こうした要件があるものと考えられます。
一方、電子取引Q&Aで示された名前も「索引簿」ですので、このCOMの「索引簿」要件がそのまま引用されたのではないか……という想像もできるでしょう。
同様の研究はすでに提示されていた
当ブログの以前の記事で紹介したことがありますが、この索引簿の方式については、国税庁Q&Aが初出というわけではありません。
日本税務会計学会(2020年11月)において研究発表をされた佐久間裕幸公認会計士・税理士が、同種の方法をすでに示されていました。
順番からいえば、国税庁Q&Aはこの案をそのまま借用したのではないか……ということになりますが、あくまで想像の範囲といえます。
まとめ
国税庁の電子帳簿保存法Q&A(一問一答)をもとに、その内容を考察する記事を書いています。
今回は、電子取引の検索機能を確保するための方法として例示された「索引簿」について紹介しました。
「索引簿」の由来を考えると、COMにおける保存要件では索引簿の備え付け要件がありました。
また、税理士による研究でも、検索機能の確保としてExcel管理による方法がすでに示されていたことがわかります。