電帳法「電子取引」の検索要件【1】 難しい部分を再攻略する

電子帳簿保存法における電子取引は、税務署への申請に関係なく、すべての法人・個人事業主に関係するものです。しかし、先例や文献は少なく、内容を理解するのも難しいといえます。

とりわけ難しいと筆者が考えているのは、電子取引における検索要件です。現状の理解を整理する意味で、ブログに筆記しておきます。

説明のポイント

  • 電子帳簿保存法で読みづらい「電子取引」の要件の理解について
  • JIIMAの「電子取引」の解説書を紹介している
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電子取引の要件流用部分が読みづらい

スキャナ保存で日の目を見た電子帳簿保存法ですが、実際のところ、税務書類の保存という分野は、税務の中でも陽も当たりづらく、研究もさかんとはいえません。

当ブログでは、こうした状況に一石を投じる意味で、これまでに多少なりの私見を含む投稿をしています。

ところで、電子帳簿保存法における電子取引は、税務署への申請などは必要なく、すべての事業者に関係のあるものとなっています。

しかし、それで興味を持って電子取引の法令を読んでみると、読む気がうせるような部分があることに気づきます。

このため、なんとなく読んだ気になってスルーしている場合もありそうに感じますので、この機会に再攻略をしておきます。

「準用」「読み替え」を攻略する

電子取引で読みづらいのは、電子帳簿保存法施行規則8条1項の部分でしょう。

これが肝心の保存要件を定めた部分ですが、その要件で難しい箇所が登場するため、頭が混乱します。

まず、該当部分を引用します。

電子帳簿保存法施行規則 第8条(電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存)
法第十条に規定する保存義務者は、電子取引を行った場合には、次項又は第三項に定めるところにより同条ただし書の書面又は電子計算機出力マイクロフィルムを保存する場合を除き、当該電子取引の取引情報(法第二条第六号に規定する取引情報をいう。)に係る電磁的記録を、当該取引情報の受領が書面により行われたとした場合又は当該取引情報の送付が書面により行われその写しが作成されたとした場合に、国税に関する法律の規定により、当該書面を保存すべきこととなる場所に、当該書面を保存すべきこととなる期間、次に掲げる措置のいずれかを行い、第三条第一項第四号並びに同条第五項第七号において準用する同条第一項第三号(同号イに係る部分に限る。)及び第五号に掲げる要件に従って保存しなければならない。
(以下略)

読みづらいのは、太字にした部分です。

保存要件については、別の区分の保存要件を参照しています。このため、施行規則の第3条に戻る必要があります。

また、「同条第五項第七号において準用する同条第一項第三号(同号イに係る部分に限る。)及び第五号」という部分で、「準用する」という読み慣れない流れや、参照先でも「読み替え」が登場し、一見して理解するのは非常に困難といえます。

JIIMAの解説書がオススメ

この難しい読み替えについては、JIIMAが作成した「電子取引」の解説がオススメです。解説書へのリンクを貼っておきます。

参照電子帳簿保存法第 10 条 「電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存」に関する解説 電子取引データの保存の考え方(第2版)(JIIMA、2015年)

要件の解説は、P.10~11にあります。

この解説書を参考に、筆者なりに追加で解説を加えますと、「同条第五項第七号において準用する同条第一項第三号(同号イに係る部分に限る。)及び第五号」の部分のうち、第5号(検索機能の確保)については、電子帳簿における要件をもとに、スキャナ保存における要件として一部読み替えたものを、この電子取引でも流用しているということです。

スキャナ保存や電子取引では、電子帳簿と異なり、「勘定科目」は検索要件の対象とはならないかわりに、「その他の日付」が追加されて「取引年月日その他の日付」になっているということです。

なお、これは令和3年度改正を反映していない内容ですので、その点はご注意ください。

まとめ

電子帳簿保存法における「電子取引」について、理解を整理する記事を書いています。

検索要件の確保について述べたものであっても、施行規則を読んでみると、どこの部分を指しているのか混乱することは必至です。

このため、理解しづらい要件流用部分について、攻略する文献を紹介しました。

次回は検索要件と実務の整合性について整理する予定です。

電子帳簿保存法における電子取引は、税務署への申請に関係なく、すべての法人・個人事業主に関係するもので...

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