間違った確定申告書を訂正するためのマニュアル(更正の請求・修正申告)

自分で作成した確定申告書が間違っていたことに気づいた場合、どのように訂正すればいいのでしょうか? 「更正の請求書」「修正申告書」を、自分で作るための手順をお伝えします。

説明のポイント

  • 国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」で訂正の申告書を作成できる
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提出した確定申告書が間違っていた!

自分で確定申告書を作成することは、とくに難しいことではありません。

国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用すれば、独力で確定申告書を作ることができます。

ところが、その確定申告書があとで間違っていると気づいた場合はどうでしょうか? これを訂正したいと思うと、そのとたんにハードルがぐんと上がります。

そこで、税務署に行ったり税理士に頼まなくても、訂正を独力でできるようにご案内するのが、この記事の趣旨です。

訂正するにはどうしたらよい?

確定申告書を訂正するためには、訂正専用の申告書を作成して、税務署に提出します。電子申告(e-Tax)も可能です。

具体的な流れを追ってみましょう。

1.作業前に必要なもの

まず最初に、用意すべきものをお伝えします。

  • 訂正が必要な確定申告書の控え(必須)
  • 確定申告書を作成したときのデータ

あたりまえの話ですが、申告書を訂正するためには、以前に自分が提出した確定申告書の控えが必要です。

提出した確定申告書の控えがないと、何をどのように訂正すればいいのかわかりません。手もとに控えがない場合は、税務署に行って提出した申告書を見せてもらえるように依頼します。

確認の方法は、過去記事を参照してください。

以前に提出した申告書や、届出書などを紛失してしまった場合について、対応を説明します。 ...

次に、確定申告書のデータです。

もし以前にその確定申告書を、国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」で作成した場合は、その作成データをそのまま引用できますので、作業がグッと楽になります。

作成したデータは、ファイル名の拡張子が「.data」のものです。パソコン内を「*.data」で検索してみましょう。

dataファイルには、作業途中で保存した古いデータが混じっている可能性もあります。dataファイルを読み込んだあと、確定申告書の控えと数字が一致するかをしっかり確認しましょう。

2.国税庁のe-Taxホームページにアクセス

次に、国税庁のe-Taxホームページにアクセスします。

画面を下にスクロールして、「確定申告書等作成コーナー」にアクセスします。

e-Taxの確定申告書等作成コーナー

次に、「更正の請求書・修正申告書作成開始」をクリックします。ネットで作成できるアプリです。

ちなみに「更正の請求」とは税金の還付を請求する処理です。一方、「修正申告」は税金を追加払いする処理です。

3.マニュアルを開く

修正の手順は不慣れでしょうから、マニュアルを見ながら作業したほうがよいでしょう。

先ほどの「確定申告書等作成コーナー」のトップページから「入力例」を探します。

画面を下にスクロールすると、「更正の請求書・修正申告書作成コーナー」のマニュアルが用意されています。自分の目的にあったマニュアルを開きます。

4.マニュアルの読み方のヒント

ここまでの説明で、訂正用の申告書をつくるアプリと、マニュアルの場所をご説明しました。

ここまで案内したところで、ハードルとなるのは「マニュアルが長すぎて読む気がなくなりそう……」ということでしょう。

このため、どこを見るべきかのヒントをお伝えしておきます。

ここでは一例として、マニュアルのページで、所得税等の確定申告書の訂正として「データを持っていない方」を開きます。

まず悩むのは、申告書の入力画面でしょう(平成29年版PDF:5ページ)。

この画面では、訂正前の確定申告書の数字を入力します。つまり、手もとにある確定申告書の数字をそのまま書き写します。

また、マニュアルの6ページ~15ページは、該当する場合に入力する、補足のページです。ぜんぶを熟読する必要はありません。

確定申告書の入力が終わったら、「追加訂正等の項目の選択」(16ページ)に進みます。重要なのはここからです。

この16ページ以降のマニュアルをよく熟読して、訂正後の数字を入力するなど、作業を進めてください。

もっとも難易度が高そうなのが、「更正の請求」での理由と添付書類の記入でしょう(23ページ)。税務署もこの部分を確認していますので、慎重に記入したほうがよいでしょう。

理由、添付書類の記入は、「更正の請求書」の書き方に記載例が載っていますので、引用しておきます。(下の画像をクリックで拡大、またはこちらのPDFの2ページ目)

e-Taxで送信する場合は、基本的に書類添付は不要な場合がほとんどです(下の画像例は、郵送を前提とした記入例です)。なお、配偶者控除や扶養控除がもれていて追加する場合は、郵送でも書類添付は不要です。

よくわからない場合は、添付書類を送ってしまってもよいでしょう。

25~26ページの財産債務調書は、確定申告書のときに作っておらず、今回の修正で大幅に所得が増えたということでもなければ、今回も作成不要です。

5.チェックすべきポイント

申告書の作成が終わると、還付または追加納付すべき金額が表示されます。

自分がイメージしていた金額と違う場合には、入力した内容をもう一度見直したほうがいいでしょう。

6.修正申告の場合、申告書の提出日に納付も必要

修正申告の場合は、申告書を提出するのと同じ日に、所得税も納付します。これは、申告書の提出日(郵送の場合は消印のある日)が、そのまま追加納付の期限日になるためです。

つまり、「修正申告は、申告書の提出+納付書で納税」がセットということに留意しましょう。

納付書は、税務署や金融機関に用意されていますので、その場で記入して納付します(e-Taxの場合は、ネットバンキングを利用した電子納税も可能)。下の画像は、国税庁による納付書の記入例です。

引用【PDF】申告所得税の納付書(領収済通知書)の記載例

修正申告ですので、「修正申告」の欄に丸をつけることに注意します。

修正申告の場合、さらに「延滞税」が発生します。これは、納付が遅延したことによる利息です。本来のルールでは、修正申告と同時に延滞税も計算して納付するとされていますが、自分で計算するのは大変なので、税務署から延滞税の納付書が届くのを待ってもよいでしょう。

7.住民税はどうなる?

税務署で「更正の請求」「修正申告」を受け付けると、これに連動して住民税(市区町村に納める税金)も変わります。

税務署と市区町村は、データのやりとりで連携しています。このため、自分で住民税の手続きを別途する必要はありません。

税務署からの通知を受けた市区町村は、その修正されたデータをもとに住民税の還付、または住民税の追加納付を求めてきます。まずは連絡が来るのを待ちましょう。

8.期限内の訂正の場合は?

もし、確定申告書を提出した場合でも、その提出期限内に間違いに気づいた場合は、その最新版の確定申告書を提出することで「上書き」できます。(例:3/1に提出したあと間違いに気づいて、3/10に訂正後の確定申告書を提出する)

期限内であれば、更正の請求や修正申告をする必要はありません。

まとめ

自分が提出した確定申告書を、あとで訂正したいと思った場合の対応方法について説明しました。

「更正の請求書」「修正申告書」は、国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」から自分で作成できます。また、マイナンバーカードとICカードリーダーがあれば、e-Taxで送信することもできます。

まずは自分でチャレンジしてみることをおすすめします。自分の手に余ると感じた場合には、税理士に相談することをおすすめします。

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