【フリーランスのための消費税入門】初心者向けQ&A集

フリーランスが消費税の基礎知識を身につけるための解説です。第4回は、補足編としてのQ&Aです。むずかしい言葉を極力なくして、頭に入る解説を目指します。

説明のポイント

  • 免税事業者でも消費税を請求していいのか?
  • 請求書に消費税を記載しなかったら、どうなるか?
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そもそも、免税事業者って何?

すべての事業者はもともと納税義務があるのですが、事業が始まったばかりなど、零細で納税義務が免除されている事業者を「免税事業者」といいます。

納税義務が発生するしくみは、以前の解説で説明したとおりです。基準期間の課税売上高をもとに判定します。

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私はその免税事業者っぽいのですが、相手に消費税を請求してもいいのですか?

免税事業者も、請求相手に交付する請求書には「消費税」と書いて請求してOKです。

免税事業者は「消費税の納税義務が免除」されています。納税の義務がないことは、「請求してはいけない」ことと違います。

厳密にいえば、免税事業者の売上には消費税が「課されていない」(消費税法基本通達1-4-5)という話なのですが、ビジネス上におけるやりとりでは、消費税として記載しても問題はありません。

請求書で消費税という欄を設けていませんが、それでも消費税の納税義務は発生しますか?

請求書に「消費税」と書かれているかどうかは、関係ありません。

請求書に「税抜」とだけ書いて請求しても、税法ではそれを「税込み」として扱います。なぜなら、この日本での売上のほとんどは消費税がかかるものだからです。

消費税の考え方は「税込み」がベースになっており、そこから消費税がいくらであるかを計算します。よって、「税抜」だけと記載して請求しても、それも含めて税込みの請求額と考えます。

また、事業者は、その消費税のかかる取引について納税義務があります。つまり、請求書に消費税と書かなくても、消費税の納税義務は発生します。

【参考】
2023年のインボイス制度導入後は事情が変わります。

開業したてなのですが、やっぱり免税事業者がいいですか?

免税事業者だから「絶対にハッピー」というのは誤解です。

仕入れや設備投資が大量に発生すれば、消費税の支払いが多額になります。事業によっては売上よりも多額になる場合もあるでしょう。

この場合、課税事業者であれば消費税の還付を受けられる可能性がありますが、免税事業者ですと、消費税の還付を受けることもできません。

なぜなら、納税義務がない(=消費税の申告書を提出できない)からです。

消費税が非課税のものって何があるの?

じつは、消費税のかからない取引も存在しています。これらは消費税法によって決まっています。

ビジネス初心者がよく目にするのは、

  • 居住用の家賃
  • 印紙
  • 保険料
  • 利息

といったものです。

細かいリストは、国税庁のタックスアンサー「No.6201 非課税となる取引」を見てください。切手もリストに入っていますが、これは例外的に課税仕入れにしてOKです。

免税事業者の場合、そもそも非課税や課税仕入れなどの区分けの必要性はありませんので、これらは参考程度でかまいません。とりあえずじぶんの売上に非課税のものがあるかどうかを気にすればいいでしょう。

海外からの請求書でTAXが請求されました

海外関係の支払いは、基本的に消費税はかからない(課税対象外)と考えていいのですが、たまに消費税が請求されるものがあります。

この場合、請求書に

  • 日本の国税庁に消費税を納めています
  • 国税庁への登録番号は、00004です

といったことが書かれています。もしかしたら英語で書かれているかもしれません。請求書をよく見てください。

下は、AmazonWebサービスの例です。簡単にいえば「うちら、日本の国税庁に納税してるんです」と書いてあります。

その可能性のある事業者のリストは、国税庁の「登録国外事業者名簿」【PDF】を見てください。

この登録国外事業者に対する支払いについては、帳簿に「登録番号」も記載します。

消費税と所得税・法人税ってどう違うの?

所得税や法人税は、売上から仕入れと経費を差し引いた、「もうけ」に対して課税されます。

これにくらべ消費税は、売上の消費税から、仕入れ・経費の消費税を差し引いて納税します。細かい理屈をはぶきますが、事業者は消費税を負担していません。これは、物をいっぱい買えば、消費税が還付になる可能性があることからもわかるでしょう。

では、誰が消費税を負担しているのかといえば、それは事業者ではない個人(=消費者)です。

最初の帳簿は「税込経理」で、と言われましたが意味がわかりません

免税事業者は、「税込経理」を選択する必要があります。帳簿ソフトの設定に、「税込経理」という設定がありますので、探してみましょう。

MFクラウド会計・MFクラウド確定申告の場合、メニュー欄の「事業所」から、

「免税業者」という設定がありますので、それを選ぶと「税込経理」になっています。

開業時に消費税の届出書を出した記憶がありませんが、いいのでしょうか?

免税事業者の場合は、消費税の納税義務がありませんので、開業にあたり、消費税の届け出をする必要はありません。

ただし、開業時から課税事業者をあえて選びたい場合は、「課税事業者選択届出書」というものを提出します。これは気軽に提出するものではありませんので、提出するかどうかを慎重に判断してください。

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