勘定科目内訳明細書のExcelフォームが公開 e-Taxソフトで送信可能

国税庁e-Taxホームページは2019年2月28日、法人税申告書に添付するe-Tax対応の勘定科目内訳明細書Excelフォームを公開しました。情報をかんたんに整理してお伝えします。

説明のポイント

  • 勘定科目内訳明細書の国税庁公式Excelフォームが提供される
  • e-Taxソフトで提出可能
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勘定科目内訳明細書とは

勘定科目内訳明細書は、法人税申告書を提出する際の添付書類の一つとされており、決算書に記載された勘定科目の詳細な内容を記載するものです。

具体的には、こんな感じの書類です。

預貯金等の内訳書

一般的に会計事務所では、税務ソフトで入力し、これを電子申告(e-Tax)で送信していることがほとんどでしょう。

しかし、電子申告を実施できない法人や、ひと昔前の会計事務所では、この書類を手書きするか「自作」のExcelフォームに記入して印刷・提出していることも多かったようです。

なぜ「自作」なのかというと、国税庁が提供する勘定科目内訳明細書のフォームは、PDF形式だけという事情があったからです(参考:勘定科目内訳書のPDF)。

当然ながらPDFでは入力に不便なので、やむなく「自作」のExcelフォームを利用しているわけです。

勘定科目内訳明細書を電子申告で提出するには?

では、この勘定科目内訳明細書を電子申告(e-Tax)で提出するには、どうしたらいいのでしょうか?

先ほども述べたとおり、会計事務所側で決算から申告まで手がける場合は、税務ソフトに入力することがほとんどでしょう。

これに比べ、決算や勘定科目内訳明細書までの作業を会社主導で実施している場合は、税務ソフトの利用なしには、勘定科目内訳明細書の電子申告での提出はハードルが高いものでした。

これらの事情を踏まえて2019年4月以後は、公式Excelフォームが提供され、勘定科目内訳明細書のCSV形式での提出が容認されます。

ちょっとややこしいのですが、2019年3月以前も、CSV形式で作ったものをe-TaxソフトでXML形式に変換すれば、提出は可能でした。2019年4月以降は、XML形式への変換はせずに、CSV形式でもいいことになります。

事前にアナウンスはされていた

財務省・総務省は、電子申告の利用率向上を目指しています。とくに大法人では、法人税申告について電子申告の義務化が実施されます。(2020年4月1日以後に開始する事業年度から)

これにあわせて、提出形式の柔軟化なども実施されることになり、勘定科目内訳明細書や法人税別表の記入欄についてCSV形式でも提出可能となります。

この点は、財務省から情報が公表された時点(2018年4月)で、当ブログでも話題にしていました。

国税庁は、e-Taxの受付について変更を実施し、勘定科目内訳明細書や財務諸表のCSV提出を容...

勘定科目内訳明細書のExcelフォームは?

勘定科目内訳明細書のExcelフォームは、2019年2月28日に、国税庁e-Taxホームページで案内されています。

参照【ソフトウェア開発業者の方へ】法人税申告書別表(明細記載を要する部分)等のデータ形式の柔軟化(CSV形式)に係る情報提供について(平成31年2月28日)

この記事の執筆時点(2019年3月)では「ソフトウェア開発業者の方へ」という案内になっていますが、まもなく一般向けにも案内があることでしょう。

Excelフォームを見てみると、次のようになっています。おなじみのExcelフォームなので、入力もしやすいはずです。

このExcelフォームを入力後、

  • Excelフォームの先頭行を削除する
  • 指定のファイル名(例:HOI030_2.0.csv)で保存する
  • CSVを規則どおりになっているかチェックツールで確認する
  • e-Taxソフトで勘定科目内訳明細書(CSVファイル)を組み込む

という手順が必要です。

とくに要注意なのは、国税庁公式の税務ソフトである「e-Taxソフト」が必要ということです。e-Taxソフトでデータを送信するためには、電子証明書も必要でしょう。

作成から提出までの留意点やマニュアルも公開されています。現時点で関係にありそうなものにリンクを貼っておきます。

まとめ

勘定科目内訳明細書のCSV提出容認について、Excelフォームが公開されたことをお伝えしました。

これらを見ると、「なんだよ、結局はe-Taxソフトに組み込むんじゃねーか」ということになり、お手軽な印象はあまりなさそうな気もします。

ただし、e-TaxソフトへのCSV形式の組み込み方法のマニュアルは、まだ公開されていないようです。既存のXML形式提出の場合とはどのように違うのかについて、情報の追加を待ちたいところです。

また、CSV形式の容認や公式Excelフォームの提供により、どのように業務削減が期待できるかについては、企業の業務体制や会計事務所との業務分担によってそれぞれ異なるため、検討が必要でしょう。

個人的に期待したいのは、国税庁以外の民間会社の税務ソフトでも、このExcelフォーム(CSV形式)のインポートに対応できることです。

ほとんどの税務ソフトがクラウド化を実現できていない現状では、この公式Excelフォームを会社・会計事務所の相互間でやりとりすることにより、作業の柔軟化を図れるものと期待されます。

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