勘定科目内訳明細書(CSV作成用Excelフォーム)を印刷して提出できる?

以前の記事で、「勘定科目内訳明細書Excelフォーム」が国税庁から提供されることをお伝えしました。これは本来、e-Taxソフトに組み込むためのCSVデータを作成するものです。では、このExcelフォームをあえて印刷して、書面提出できるか? という、非常に微妙な話を考えてみます。

説明のポイント

  • 国税庁が「勘定科目内訳明細書」のe-Tax用のCSVデータ作成Excelフォームの提供を予定している
  • 実際の様式と、Excelフォームを印刷した場合の比較
  • 「内訳書に準じた」ものの提出も認められており、Excelフォームでの印刷提出も可能と考えられる
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以前の記事のおさらい

電子申告の推進を進めるうえで、国税庁は、e-Taxで提出できるデータ形式の柔軟化を打ち出しました。そのひとつが、勘定科目内訳明細書をCSVデータで提出できるというものです。

2019年4月から実施予定であり、そのCSVデータを作成するためのExcelフォームがつい先日、国税庁から発表されました。

国税庁e-Taxホームページは2019年2月28日、法人税申告書に添付するe-Tax対応の勘定科目内...

書面提出のニーズも「2割」はある?

このような動きがあるのは、国(財務省・総務省)が電子申告を推進しているためです。とくに、2020年4月からは大法人限定で電子申告の義務化が始まります。

国としては大法人にとどまらず、いずれはすべての法人で電子申告の義務化を目指すことになるでしょう。

……といいながら、実は、多くの法人ですでに電子申告を実施できており、法人税申告の電子申告利用率は約8割に達しています(平成28年度)。

引用「税務行政の将来像」に関する最近の取組状況(国税庁、2018年)

電子申告の利用率が高い理由ですが、中小企業では税理士の関与率が高く、税理士主導で電子申告を実現しているためと考えられます。

この点を見ても、国税庁の取り組みや、税理士の行政への貢献度は評価されていいでしょう。(手前味噌ですが)

しかし、税理士が関与していない法人などでは、いまだに書面提出のニーズもあるようです。そうした割合もまだ2割程度ある、と見ることもできるでしょう。

平成29年度の申告法人数は全国で271万社とされています(国税庁統計)。また、平成28年度において、その2割が電子申告非実施の法人であれば、その数はおよそ54万社になります。

勘定科目内訳明細書のExcelフォーム

法人税申告書を書面提出するのであれば、その添付書類である勘定科目内訳明細書についても、書面提出していることでしょう。

この勘定科目内訳明細書の様式について、国税庁は白紙(ブランク)を法人あてに送付するほかには、PDF形式のダウンロードを提供していました。

その一方で、ニーズの高そうなExcelフォームを国税庁は提供しておらず、世間では「自作」したものを利用することが多かったようです。

 

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そこで今回は、2019年から提供される、e-Taxのために提供される勘定科目内訳明細書のExcelフォームについて、これを書面提出に使っていいのか? という想定外の話を考えてみます。

もともと電子申告推進のために提供されるExcelフォームではありますので、本来であれば想定外の話でしょう。

しかし先ほども述べたとおり、書面提出の法人もまだ2割あります。筆者は電子申告を推進する立場ですが、そのような立場はともかく、「できる」「できない」を考えてみます。

Excelフォームと実際の比較

勘定科目内訳明細書は、法人税法において、確定申告書の添付書類のひとつとされています(法人税法74、法人税法施行規則35)。

そして、その様式は「法人課税関係の申請、届出等の様式の制定について(法令解釈通達)」で定められています。

では、そのExcelフォームを、印刷して提出できるのか……? という問題ですが、印刷してみた感じですと「ほとんど問題なさそう」という印象を持ちました。

以下に、公式のフォームと、Excelフォームを印刷したものを見比べてみましょう。

【公式のPDFフォーム

e-Tax用Excelフォームを印刷したもの】

Excelフォームを印刷する場合は、初期状態だと印刷が1行目しかできないので、印刷範囲を変更・指定する必要があります。

双方を見比べたところでは、ほとんど問題ないと思える程度でしょう。さすがに国税庁の公式フォームですので、記載内容は同一です。

Excelフォームでは、ヘッダの部分(上の画像であれば、「預貯金等の内訳書」や右上の①)も標準で設定されていました。印刷での利用も想定して作られていた可能性もあります。

気になるところでは、Excelフォームだと末尾の合計値が用意されていないくらいでしょう。決算書と一致する部分の数字が合計値ですので、この部分の記入は自分で意識しておく必要がありそうです。

税務署がダメ出しする可能性はあるか?

これまでの経緯を考えるに、非公式の自作Excelフォームも実務上ひろく書面提出に使われていたわけです。

この点を考えると、「この公式Excelフォームはe-Tax専用! だから書面提出は認めない!」などと、いまさらダメだしする理由も考えづらいでしょう。

また、国税庁ホームページで公開されている「勘定科目内訳明細書の提出について」(申告手続に係る各種参考情報)において、次の記述が見られます。

貴社(貴法人)において、おおむね同封した各科目別の内訳書に準じた書類を作成しているときは、この内訳書に代え、それを提出していただいて差し支えありません。

ここでいう「同封」とは、郵送で送られてきた勘定科目内訳明細書の白紙様式(ブランク)をいいます。

この記述を見るに、内訳明細書の記載形式は「内訳書に準じた」ものでもよいため、ある程度の自由があるといえそうです。

つまり、通達が定める様式をベースに書くことをきちんと書いていればよく、Excelフォームを利用して印刷したものを提出しても、とくに差し支えないと考えられるでしょう。

まとめ

今後、国税庁から提供が予定されている「勘定科目内訳明細書」e-Tax用のCSVデータ作成Excelフォームについて、これをあえて印刷して書面提出できるのか? という視点で考えてみました。

この記事執筆時点(2019年3月)は、まだ非公式の段階(ソフトウェア開発業者向け)での発表ですし、今後どのような正式発表があるかもわかりません。

あくまで2019年3月の時点で考えてみたこと、という前提でお願いします。