法人事業概況説明書が新しい様式に! 変更点をチェックする

国税庁は2017年(平成29年)7月3日、「法人事業概況説明書」の新しい様式を発表しました。変更点について説明します。

説明のポイント

  • 法人事業概況説明書の新様式について、変更点を説明している
  • 新しい様式は、平成30年(2018年)4月1日以後の終了事業年度分から
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「法人事業概況説明書」とは?

法人事業概況説明書

「法人事業概況説明書」とは、法人が確定申告書を提出するときに添付する書類のひとつです。

この書類は、確定申告書への添付義務があるため、面倒だからといって、知らんぷりすることはできません。

また、税務署では、この説明書に記載された内容も考慮に入れて、税務調査の対象を検討しているとされています。

この「法人事業概況説明書」については、平成30年4月1日以後に終了する事業年度分から、新しい様式になることが発表されました。

作成を担当する人は、新様式の変更点を把握しておきましょう。

「法人事業概況説明書」の新様式 どんな点が変更になるのか?

「法人事業概況説明書」の新様式について、現行の様式と対比しながら変更点を説明します。

1.法人番号を記載し、納税地は記載不要に

まず、新しい様式では、納税地の記載が不要になります。これに代わって、法人番号を記載する欄が新しく追加されています。

現行様式

新様式

2.ホームページアドレスの記入が半強制的に

新様式では、自社ホームページの有無を記入し、その上で、ホームページを所有している場合は、そのアドレスを記入するかたちになっています。

現行の様式では、ホームページアドレスをまじめに記入していない法人も多かったと考えられ、しっかり記入してもらうための変更でしょう。

このほか、現行の様式では「応答者氏名」の記入欄がありましたが、新様式では削除されています。

現行様式

新様式

3.事業内容に業種の記入欄が追加

「事業内容」の欄も微修正があり、「○○業」として、主要な業種を最初に明示するように変更されています。

現行の様式では、事業内容に「○○業」だけ記入していた場合も多いと考えられますが、より詳細な記入を求めるように工夫されています。

現行様式

新様式

4.支店数・子会社の記入欄が詳細に

新様式では、支店数と子会社について、国内・海外の記入欄をはっきり分けて記入するようになっています。

海外支店については、所在国の記入欄が2箇所記入できるようになっています。

子会社については、「国内子会社の数」の欄が新設されています。また、海外子会社については、「海外子会社のうち出資割合が50%以上の海外子会社の数」の欄が追加されたほか、所在国ではなく、子会社の名称を記入するように変更されています。

現行様式

新様式

5.PCの利用状況、ネット取引の形式変更

パソコンを利用した会計が当たり前になり、利用状況の多様化にあわせた様式に変更されています。

新様式では、PCの利用OSとして「Windows、Mac、Linux、その他」が設けられたほか、「メールソフト名」の記入欄も新設されています。さらに、データの保存先として「クラウド・外部記録媒体・PCサーバ」の3つから選択する形式になっています。

ここで注目すべきなのは、メールソフト名を記入することになった点です。税務調査では、電子商取引にからめて、社内メールを調査対象に含めることも増えると見るべきでしょう。

また、Windows以外のOSの場合では、調査官が操作に習熟していない場合を考慮し、あらかじめOSの種類を記入する形式になったと見ることができます。

また、電子商取引についても記入欄が詳細になっており、「売上・仕入・経費」の3分類について、それぞれ有無を尋ねるかたちになっています。とくに税務署が知りたいのは、「売上・仕入」の電子商取引でしょう。

以前の形式では、例えばAmazonで備品を買っただけでも電子商取引は「有」ということになり、意味の乏しい記入欄になっていましたが、今後はより詳しい記入が求められます。

販売チャネルについても、「自社HP・他社HP」の記入欄があります。このあたりの変更からも、実態のつかみにくい電子商取引について、税務署が高い関心を寄せていることがわかります。

現行様式

新様式

6.消費税の経理方式、社内監査

消費税の経理方式については、「税抜・税込」のいずれかを尋ねる記入欄に一本化されています。

また、社内監査の記入欄が新設されています。各種チェックシート等を活用した社内監査の「実施の有無」とされていますが、詳細は不明です。

現行様式

新様式

7.主要科目の記入欄の一部追加

決算書の抜粋となる、主要科目の記入欄に「特別利益」「特別損失」が追加されています。

その一方で、「支払利息割引料」の欄が削除されているほか、「地代家賃・租税公課」が「地代家賃」に変更されています。

このほか、インターネットバンキング・ファームバンキングの利用について記入欄がありましたが、削除されています。

現行様式

新様式

まとめ

「法人事業概況説明書」の新しい様式について、その変更点を説明しました。新様式で提出するのは、平成30年4月1日以後に終了する事業年度分からです。

「法人事業概況説明書」の記入欄は両面になっていますが、変更があったのは表面だけで、裏面について変更点はありませんでした。

現行の様式、新様式については、以下のリンクで確認できます。

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