温泉療養と医療費控除 【4】療養にかかる費用の試算

医療費控除の対象となる温泉を利用する場合の費用負担と、そのうち医療費控除の対象となるものの範囲を確認します。

説明のポイント

  • 医療費控除の適用を受けて温泉療養を受ける場合の試算
  • 東京から北海道豊富町「町営温泉入浴施設 ふれあいセンター」に8泊で温泉療養した場合
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温泉療養と医療費控除

当ブログでは、これまでに医療費控除と温泉療養に関する記事を書いてきました。

温泉療養で医療費控除が受けられるという話は知られています。その控除を受けるまでの流れはどうな...

その仕上げとして、温泉療養を受けるために現地に向かった場合の試算と、その費用のうち、医療費控除の対象となるものの範囲について確認します。

あまり堅い話ではないので、気楽にお読みください。

行き先は北海道「豊富温泉」

ここでの試算は、北海道豊富町(とよとみちょう)にある豊富温泉において温泉療養を受けるものとして検討します。

豊富温泉の町営「ふれあいセンター」を利用した医療費控除の適用数は、全国最多ということです。よって、ここを基準とするのがわかりやすいでしょう。

温泉は泉質により効用が異なるため、温泉療法医に相談しながら適切な温泉地を選択する必要があります。また、温泉療養を医療費控除の対象にするためには、医師の診断書をもとに、対象施設の利用が必要です。(どこの温泉でも医療費控除が可能なわけではありません)

豊富温泉はどこにある?

豊富温泉は、北海道の北部にあります。北海道の最北端である稚内(わっかない)は知名度が高いと思われますが、その少し南側にある町です。

下の画像は、豊富町の場所です。

ちなみに筆者は、真冬の稚内市内や、アザラシの越冬地である抜海港(稚内市の南にある)に行ったことはあります。

しかし、さらにその南である豊富町には、残念ながら行ったことはありません。

このため、ここで記載した内容はすべて筆者がネットで調べた情報によるものです。近い将来に自分で現地に行くための、下調べです。

この記事のような未経験者が書いた内容には、誤りの含まれる可能性があります。また、温泉療養と医療費控除の考え方についても、事例の積み重ねによる公開情報は皆無であり、私見を含みます。

間違った内容があった場合は、メッセージをいただければ喜んで訂正します。

試算

交通費(医療費控除の対象)

筆者の事務所のある東京都北区赤羽から電車で羽田空港へ行き、飛行機で稚内空港に到着後、そこから豊富温泉に向かうものとします。

交通費は、温泉療養における医療費控除の対象とされています。

この場合の稚内空港までの交通費は、次のとおりです。

  • 電車(赤羽~羽田空港) 往復 1,418円
  • ANA航空券 羽田空港~稚内空港 往復 53,000円(時期による)

次は、稚内空港から豊富温泉に向かうまでの経路です。

豊富温泉の案内によれば、特定のホテルの迎えがなければ、稚内空港から公共交通機関を乗り継いでも当日中に豊富温泉には到着できないという問題があります。

稚内空港には12:35に到着しているのですが……(汗)

もしタクシーを使って空港から豊富温泉まで直行すると、片道で13,000円ということです。

このため、温泉に直行することを条件としたレンタカー「空港パック(湯治客限定)」が提供されています。レンタカーを利用すれば、比較的安価に向かうことができます。

  • レンタカー利用(稚内空港~豊富温泉)普通車:往復10,800円

ただし、レンタカーは公共交通機関ではないため、「レンタカー代」が医療費控除の対象になるのか? という点について検討を加える必要がありそうです。この点は後述します。

宿泊代・食事代(医療費控除の対象外)

医療費控除の対象となる温泉療養の条件は、

  • 医師の診断書があること
  • 認定施設で温泉療養を行う
  • おおよそ1カ月以内に7日以上の利用が必要

とされています。よって、現地での滞在期間は最低でも7日間で、往復の移動日として2日間を含めると、「8泊9日」以上の旅程を検討する必要があるでしょう。

 

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ただし、滞在にかかる費用(宿泊費・食事代等)は、医療費控除の対象外とされています。

豊富温泉では、湯治客向けの宿泊施設が充実しています。

最も低価格なのは、湯治客向けの宿泊所「湯快宿」で、1泊毎に2,500円~2,800円という低価格で提供されています。まさに湯治宿です。

しかし、コンシェルジュデスクで聞いてみたところ、人気で満室のことも多いとの話でした。ここでは試算なので、仮に予約がとれたものすると、

  • 「湯快宿」8泊x2,500円:20,000円

となります。

さらに、現地の食事代・雑費も1日3,000円で考慮しておきましょう。(現地事情がよくわからないのであくまで想像です)

  • 食事代・雑費8泊x3,000円:24,000円

温泉療養費(医療費控除の対象)

「町営温泉入浴施設 ふれあいセンター」における回数券(8枚綴り)を購入します。温泉療養費は、当然ながら医療費控除の対象になります。

  • 回数券(8枚綴り) 大人(中学生以上):3,570円

集計

試算を集計すると、11万円程度になりました。

宿泊代が安価であるためか、8泊もしているわりに全体としては安く感じます。航空券の負担が重いですが、時期を選んだり、割引がきけばもっと安くなるのかもしれません。

費用の11万円のうち、医療費控除の対象になるのは、交通費と温泉療養費のみの7万円です。

この医療費控除の適用により、税率(所得税・住民税)を20%と仮定すれば、14,000円が還付されます。

ただし医療費控除は通常、医療費の年間合計が10万円を超えた部分から対象となることに注意が必要です。

医療費控除の判定について

ここでの医療費控除の判定は、温泉利用型健康増進施設連絡会「よくある質問」を基準としています。

この「よくある質問」について少し考えてみましょう。まず、交通費が対象となるのは所得税基本通達73-3における「通院費」に準じるためでしょう。

宿泊代が対象にならないのは、国税庁質疑応答事例「湯治の費用」において、旅館代は診療等に直接必要な費用ではないとしていることが理由かもしれません。

また、「レンタカー代は医療費控除の対象になるか?」という点の検討ですが、

  • 稚内空港から豊富温泉まで直行するシステムであること
  • 現地における交通手段の選択肢の少なさ(公共交通機関を使っても、選択した宿泊方法では当日中に温泉まで行くことができない)

という事情を考慮すれば、レンタカーの利用であっても、公共交通機関に準じるものとして医療費控除の対象に含めて差し支えないでしょう。

一方、滞在中の行動範囲を広げたり、観光を考慮した場合のレンタカーの利用は、その利用代の全額を医療費控除の対象にすることは難しいと考えられます。(「治療」の範囲を超えるため)

旅行パックを利用した場合はどうなるか?

ここまでは、航空券や宿泊を個別に検討した場合の内容でした。

これ以外にも、豊富温泉のコンシェルジュで教えていただいた別の方法があります。それは、クラブツーリズムの旅行パックを利用するプランです。

クラブツーリズムのホームページで検索してみると、たしかに、豊富温泉に長期滞在するフリープランが提供されています。

羽田空港~稚内空港の往復直行便を利用し、滞在先は現地ホテルです。朝食・夕食付きで、空港~ホテル間でも無料送迎バスありとなっています。

上記の試算と比べても、価格的に遜色ありません。むしろ、航空券とホテルが団体料金で確保されている分だけ、コストパフォーマンスがいいかもしれません。

パック料金の交通費をどう区分するか?

ここで悩むのが、旅行パックを利用した場合の医療費控除の適用です。ホテル代は医療費控除の対象外ですが、交通費は医療費控除の対象になります。

もし、パック料金における交通費を合理的に区分できれば、その交通費の部分を医療費控除の対象にできるものと考えます。

区分する方法の案ですが、滞在期間で航空券とホテルを個別に予約した場合の金額をメモしておき、その金額の比率からパック料金における交通費を割り出す方法が考えられます。

滞在期間後に比率を調べる場合でも、ホテル価格と航空券はおおむね季節ごとに似た動きをすると考えられます。もし忘れてしまい、あとで調べた時点でも一定の合理性はあるでしょう。

まとめ

医療費控除の対象になる温泉療養費について、東京から北海道豊富町にある豊富温泉に行った場合の試算をまとめてみました。

筆者は幸いにして、アトピーのような皮膚の悩みは抱えていませんが、話題となっている温泉地にぜひとも一度は行ってみたいと考えています。

なお、ここで示している医療費控除についての考え方は、筆者独自の見解も含まれています。

適用要件などは、過去記事も参照してください。

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