消費税の軽減税率は、経費精算に要注意【2】精算書の段階で区分できるか

前回の記事の続きです。軽減税率の対象品目をメインで扱わない事業者であっても、経費精算に注意する必要性をお伝えしています。今回は、前回の内容をもう少し深掘りします。

説明のポイント

  • 軽減税率のあるレシートは、経費精算書の段階でわかるようにしたほうがよい?
  • 税率の異なるレシートを経費精算する従業員の範囲が広がる、という問題
  • 経費精算書における記入欄。「勘定科目」と「税率」から、帳簿への対応関係
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【1】軽減税率のレシートがあるかも、というストレス

前回の記事でもいいましたが、軽減税率のあるレシートは、経費精算を経由してやってくる可能性があります。

このことから、経費精算において、

  • 軽減税率の対象品目が含まれるレシート(8%)
  • 通常の税率と、軽減税率の対象品目が同時に含まれるレシート(10%+8%)

がある場合に、どのように従業員が経費精算書に記入するか、もう一度検討しておく必要があるでしょう。

ただし、「軽減税率のレシートなんて数も少ないし、経費精算書の内容をよく見れば飲食料品は判別できる。だから気にする必要もそこまでないのでは……?」という意見もありそうです。

筆者が気になるのは、経理にかかる負担やストレスです。ここで述べているのは、経費精算から記帳までの流れにおいて、

  • 軽減税率のあるレシートが含まれていたとして、その消費税の区分をスムーズに帳簿に反映できるのか?
  • 軽減税率のあるレシートがどこに含まれるかわからず、記帳のたびに経理がレシートを確認する必要が生じないか?

という点を気にしています。

「軽減税率のあるレシートがどこかにあるかもしれない。区分する必要があるかもしれない」というストレスを、なるべく緩和できる対処が望ましいのでは、と述べているわけです。

ちからわざでも解決は可能でしょうが、しくみで楽になりそうなことは、制度変更と同時にやったほうがスムーズですし、周りからも理解を得やすいはずです。

【2】税率違いが同時に含まれる事例は過去にもあった

軽減税率の導入により、「消費税が複数の税率になるのは始めて」「税率の違うものは、区分経理をする必要がある」と解説されています。

少しイヤミな言い方になりますが、「課税と非課税」が同時に含まれる請求書等は、実はこれまでにもありました。これも税率が複数のようなもので、区分経理もしていたわけです。

しかし、会社あての請求書は、通常は経理が受け取るので、その請求書に含まれる税率が「課税・非課税」込みという複雑なものでも、とくに問題はなかったでしょう。

では、経費精算はどうでしょうか。

現金決済によりレシートを受け取るような場合で、ごくまれに課税と非課税が混じるものがあったはずです。その代表例は、郵便局で切手と印紙を同時に買った場合のレシートです。

 

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このレシートを経費精算する場合は、勘定科目ごとの最終目的を見れば、「通信費」と「租税公課」に区分しているでしょうし、課税と非課税の区分も必要です。

しかし、経費精算書の段階で勘定科目を区分させない場合は、「郵便局(印紙、切手) 810円」という記入内容であれば、レシートそのもの確認する必要があります。

印紙や切手を同時に買う担当者は、中小企業では総務や経理などに限られており、これが大きなストレスになるようなケースは限定的だったと考えられます。

これ以外にも、海外出張が含まれる経費精算書なども該当するでしょう。海外で支払った経費はすべて非課税になります。

課税・非課税の区分経理はいままでもありましたが、それは「わかっている」担当者に限られていたので、さほど問題は生じなかったといえそうです。

しかし、軽減税率の含まれるレシートは、誰が受け取るかはわかりません。今後のことを踏まえたルール整備が必要かもしれません。

【3】勘定科目と税率、誰が区分する?

前述のルールとは何でしょうか? 経費精算書とレシート、そして記帳までの対応関係を考えてみます。

従業員は、レシートをもとに経費精算書に記入し、これらをセットで経理に提出することが多いでしょう。

そして経理は、経費精算書を確認し、その内容を会計帳簿に反映させているでしょう。

企業ごとに対応が分かれるのは、勘定科目の区分は、従業員の記入段階で実施するか、それとも経理が実施するか? という点です。

そして今回の軽減税率で求められることになったのは、税率ごとの区分です。同じレシートに10%と8%の税率が両方ある場合、これを分けて入力する手間が生じます。

また、軽減税率は勘定科目にひも付いておらず、会議費であっても10%(店内打ち合わせ)もあれば、8%(会議用のペットボトル飲料)もありえます。

勘定科目や税率について、経費精算書の書式が効率的なものか、よく検討しておく必要があるでしょう。

軽減税率の対象品目はその旨を書いてもらったり、複数行に分けて記入してもらう必要があるかもしれません。

【4】経費精算システムで区分経理に対応できるかも

経費精算のアプリでは、同一のレシートに10%と8%が含まれる場合でも、まとめて入力できるように改良予定というものがあるようです。

例えば、経費精算アプリの「Dr.経費精算」においては、「消費税法改正への対応について【新機能】(2019年4月)」を読むと、同一科目であれば複数税率の入力に対応するシステムを検討するとされています。

ただし、すべてのシステムがこのようになるとは考えづらく、自社にあわせた対応が必要でしょう。紙やExcelフォームの経費精算であれば、なおさらのことです。

まとめ

前回の記事の続きとして、軽減税率の対象品目をメインで扱わない事業者であっても、経費精算に注意する必要性をお伝えしました。

  • 軽減税率のあるレシートは、経費精算書の段階でわかるようにしたほうがよい?
  • 税率の異なるレシートを経費精算する従業員の範囲が広がる、という問題
  • 経費精算書における記入欄。「勘定科目」と「税率」から、帳簿への対応関係

という視点で整理してみましたが、やや雑記風になってしまいました。

ちなみにこれらは、筆者独自の私論です。筆者の過去の経験を踏まえて考えてみましたが、もしなにか実践的なヒントが見つかれば幸いです。

軽減税率における区分経理のルールにあわせるために、どのような経費精算のしくみがよいのか、制度変更の機会にあわせて考えてみるとよいかもしれません。

この記事には続きがあります。

前々回、前回の記事の続きです。軽減税率の対象品目をメインで扱わない事業者であっても、経費精算に注意す...