国税庁ホームページ 更新履歴が追えないことの問題点とは【2】

国税庁ホームページに掲載されている情報は、実務の参考にされています。しかし、こうした掲載情報について、国税庁の扱い方で気になる点も見られます。この点を指摘しています。

1回目の記事はこちらです。

国税庁ホームページに掲載されている情報は、実務の参考にされています。しかし、こうした掲載情報について...

説明のポイント

  • 更新履歴がないことが、情報掲載の不信感を生み出す原因につながっている
  • タックスアンサーの掲載を告知せず、「打診」のように情報を提示する手法が見られる
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過去の情報はどうやって調べるか?

前回の記事で伝えたことですが、国税庁ホームページは電子媒体であり、情報が上書きされると、過去の情報を参照できなくなる欠点を抱えています。

もし過去の情報と照らし合わせたい場合は、過去のアーカイブとの突き合わせを自力で行う必要が生じます。

過去のアーカイブの参照方法は、以前に記事にしました。国立国会図書館が毎月月初に行っているものがありますので、こちらで参照できます。

国税庁ホームページは電子媒体なので、情報が上書きされると過去の記録が閲覧できなくなってしまう欠点があ...

更新履歴がなければ、変化を察知することは不可能

1ヶ月毎のペースで記録する国営のアーカイブサイトがあれば、国税庁で更新履歴は不要かというと、それは疑問を覚えます。

アーカイブサイトは、あくまで「点」を示すものにすぎず、現在の情報に至るまでの「線」を示すものではありません。

また、国税庁ホームページのトップページで公表されている更新情報は、あくまで国税庁が任意で選んだ重要情報に限られています。

例えば、質疑応答事例やタックスアンサーの内容が仮に何かの理由で書き換わったとしても、その情報をすぐに察知することは不可能です。

「打診」で掲載される手法の是非

やや脱線になりますが、国税庁ホームページにおける情報の掲載については、微妙に気になる方法が見られます。

それは、国税庁が課税に関する考え方を初めて提示する場合に、タックスアンサーを利用するという手法です。

これは、仮想通貨における課税の考え方で見られたパターンでした。

国税庁が仮想通貨における課税の考え方を言及したのは、2017年8月~9月のことです。

具体的には、タックスアンサー「No.1524 ビットコインを使用することにより利益が生じた場合の課税関係」という情報が掲載されました。(※リンク先は、2017年9月時点の国立国会図書館のアーカイブ。以下同様)

しかし、2017年9月時点の「新着情報」を見てもわかるとおり、このタックスアンサーが掲載されたことは、新着情報のどこにも載っていません。

このタックスアンサーの存在が広まった経緯ですが、SNSで自然発生的に広まったと筆者は記憶しています。

もしかしたら、タックスアンサーを逐一チェックしていた人がいたのかもしれません。

ここで重要なのは、国税庁はタックスアンサーを載せただけにすぎず、掲載の告知はまったくしていないということです。(twitterにも告知なし)

そして、公開された情報も2行という、ごく短いものでした。これを「打診」以外の表現で述べるのは難しいでしょう。

ある日突然に重要なタックスアンサーが追加されており、その告知もされておらず、それが実務の基準となりうることは、信頼のある情報公開といえるでしょうか?

当時は仮想通貨の熱狂で見向きもされませんでしたが、このような経緯を思い返すに、疑問を感じるのは筆者だけではないでしょう。

まとめ

ここまで、国税庁ホームページに関する疑問点を述べてきました。

国税庁ホームページは、実務において重要なインフラであるにもかかわらず、この運営方法について論じられることはほとんどないことが気になっていました。

そして、この記事で指摘したとおり、掲載情報が突然に消えたり、タックスアンサーを使って「打診」のような情報掲載をするという、運営方法に疑問を感じる点が見られます。

こうした問題点が起こりうるのは、ひとえに更新履歴がないためです。

国税庁ホームページの更新情報は、任意のものだけが表示されています。過去の掲載情報も更新履歴が示されることはなく、更新された理由もわからなければ、不信感が芽生えやすくなるのは当然です。

国税庁の「体質」を考えるに、更新された理由を示すことは恐らく期待できないでしょう。

しかし、どのページが更新されたかをくわしく明らかにすることは、実務に直結する話であり、強く要望したいところです。

そもそもの重要な視点ですが、国税庁ホームページは国民の税金を投入して運営されている「国民の財産」です。

税金を効率よく徴収することも重要ですが、国民から信頼される機関であることも重要でしょう。

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