納税証明書の電子的交付により、自分で証明書の複数枚印刷が可能に

2019年12月20日に閣議決定された「令和2年度税制改正の大綱」より、気になるトピックスを採り上げます。

基本的な内容は新聞報道等で一覧できますので、このブログでは、そのような報道では紹介されない注目点を紹介します。

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納税証明書の電子的交付で、納税者で書面印刷が可能に

今回は納税証明書についての改正についてお伝えします。

電子的に交付された納税証明書を、納税者自身の手でコピーして利用することが可能になる、という改正になります。

大綱の記述

税制改正大綱の記述を引用します。

(国税)
(1)納税証明書の電子的請求手続等の柔軟化
① 略
② 納税証明書の電子的交付について、税務署長等の電子署名及び電子証明書の送信に代えて、真正性を担保するための措置(その納税証明書に記載すべき事項が記録されたいわゆる「QRコード」の添付)を講ずることにより、申請者が納税証明書を複数印刷して使用することを可能とする。
(注)上記の改正は、令和3年7月1日以後に行う請求について適用する。

これまでの経緯

納税証明書の種類は、「紙の納税証明書」と「電子ファイルの納税証明書(電子納税証明書)」の2種類が存在します。

図表で、2種類の特徴を整理しておきます。

当然ですが、紙の納税証明書は、納税者が勝手にコピーしても、コピーしたものは真正とは認められません。

一方、電子納税証明書はXML形式の電子ファイルですが、これを印刷しても、紙の納税証明書として用いることはできないとされています。(参考:国税庁「2 電子納税証明書(電子ファイル)について(詳細)」

つまり納税者が、紙の納税証明書を複数枚入手するには、いまのところは、税務署から入手するしかありません。

なお、世間的には「紙の納税証明書」を用いることがほとんどで、かたや「電子納税証明書」は、ほとんど用いられていないようです。

電子納税証明書については、以前に筆者が調べた記事を書いていますので、関心のあるかたはこちらをご覧ください。

国税の納税証明書といえば、「紙」で交付を受けることがほとんどでしょう。この納税証明書は、電子ファイル...

 

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解説

大綱を読む限りでは、納税者の実務負担を軽減する改正のひとつと考えてよいでしょう。

実務上のメリットとしては、納税証明書の電子的交付を受けることで、あとは納税者のほうで任意の枚数を印刷できるようになり、手数料の負担が軽減されることが期待できます。

また、電子交付であるため、納税証明書を入手するまでの時間も早まることでしょう。

これらを考えると、いままで税務署に納税証明書を取りに行ったり、郵送請求していた手続きは、今後は電子交付に置き換えたほうがメリットを感じるかもしれません。

この改正は、令和3年7月1日以後の請求が対象とされています。

疑問点

今回の改正の対象となる「電子的交付」と、既存の電子納税証明書との関係については、今回の大綱の記述では明らかにされていません。

何を気にしているのかというと、

  • 既存の電子ファイルの納税証明書が、QRコード付きの「紙の納税証明書」の印刷に対応できるようになるのか?
  • それとも、「印刷用の電子ファイル」が交付されるだけで、これは「電子納税証明書」としては使用できないのか?

という点です。さらに疑問なのは、

税務署長等の電子署名及び電子証明書の送信に代えて、真正性を担保するための措置(その納税証明書に記載すべき事項が記録されたいわゆる「QRコード」の添付)を講ずる

という部分を読むと、「e-Tax経由で発行されるXMLファイルには、税務署長の電子署名がされていないが、QRコード付きである」というようにも読めます。

納税証明書を、どのように印刷するのかもまだわかりません。

似たようなしくみでは、生命保険料等の控除証明書で「QRコード付き」のものを自分で印刷することができる制度が実現しています。(参考:国税庁「QRコード付証明書等作成システム」

いずれにしろ、もう少し情報が出てみないと、わからないこともありそうです。

まとめ

納税証明書の電子的交付により、納税者が自分の手で、証明書を複数枚印刷することが可能になるという改正をお伝えしました。

納税証明書の入手にあたっては、税務署の窓口で入手していることがほとんどでしょう。改正により、e-Taxを経由した請求も、さらに利便性が増す可能性があります。

詳細が不明な部分もありますが、事務負担の軽減につながる改正のひとつとして、注目されるでしょう。