e-Tax送信後は必ず「受信通知」を確認! 確認忘れは自己責任に

e-Taxで電子申告したあとは、必ずメッセージボックスの「受信通知」を確認し、データが正しく送信されたかを確認します。期限後に「提出されていなかった」ことに気づいても手遅れです。調べてみると、実際にe-Taxでの提出で争った裁決事例がありますが、納税者の言い分は認められていませんので要注意です。

説明のポイント

  • e-Taxでの提出は、メッセージボックスの「受信通知」の確認が必須
  • 送信ミスで、期限後に気づいても自分の責任
  • 受信通知を確認するまでがe-Taxである
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電子申告後は「受信通知」を必ず確認!

e-Taxで電子申告をした後は、e-Taxのメッセージボックスにログインし、送信した申告内容の「受信通知」を確認して、エラーが表示されていないかを確認します。

受信通知とは、メッセージボックスに保管される、税務署からの通知(メッセージ)のことです。

この受信通知に「送信されたデータを受け付けました」と書いてあれば、該当の申告書は、税務署にデータが届いています。

確定申告書を送信した直後に表示される受信通知の場合、文章のニュアンスが少し違っています。「確定申告書データを正常に受け付けました」と表示されます。

なお、実際に送信した申告書の中身を確認する場合は、「e-Taxソフト(WEB版)」にログインし、メッセージボックスから受信通知を確認すれば、帳票をPDF形式で表示できます。(※e-Taxトップページの「メッセージボックス」は帳票をPDFで表示する機能はない)

受信通知を確認しなかった場合のトラブルは?

さて、本題はここからです。

もしきちんと送信されておらず、申告期限を過ぎてしまった後に気づいたとして、こうしたトラブルを税務署に訴えても、聞き入れてもらえるのでしょうか?

結論ですが、送信がされていなかった場合に基づくトラブルは、納税者自身の責任とされています。あとで何かを主張しても、一切認められていません。

この点を調べてみると、実際にe-Tax関連で揉めた事例がいくつかあるようです。

  • 申告用データがパソコン内に残っており期限内に提出したことは明らかと主張しても、そのデータは提出前の状態であり、なおかつ受信通知はメッセージボックスに届いていないことから認められなかった事例(平成30年3月13日付非公開裁決)
  • 期限内に申告できなかったのは、正常に送信できていない旨のエラーメッセージが表示されないe-Taxのシステムに原因があると主張したが、認められなかった事例(平成28年5月24日付非公開裁決)

※要旨は筆者による

税務に明るい人であれば「当然だよね」という反応になるのですが、操作に不慣れな人にとっては心配になるはずです。

このため、必ずメッセージボックスで受信通知を確認してください、とお伝えしているわけです。

また、受信通知とは少し違う話ですが、e-Taxにまつわる事実誤認も、納税者の責任となります。

  • マイナンバーカードの発行が間に合わなかったので、期限内に申告ができなかったと主張しても認められなかった事例(平成29年4月20日付非公開裁決)
  • 期限後申告でe-Taxにて送信したときに表示された「正常に受け付けました」という表示が、期限内申告を意味すると主張しても認められなかった事例(平成30年2月23日付非公開裁決)

「データが届いた」とはどういうことか?

税務署の窓口に申告書を持って行けば、下のような受領印が申告書に押されるので、「提出した」ということは明らかです。

では、e-Taxの場合はどうでしょうか?

電子申告の場合、「データで送信してもよい」とされていることには根拠があります。「行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律」第3条を読むと、

行政機関等は、申請等のうち当該申請等に関する他の法令の規定により書面等により行うこととしているものについては、当該法令の規定にかかわらず、主務省令で定めるところにより、電子情報処理組織を使用して行わせることができる。

とされており、同条3項には

第一項の規定により行われた申請等は、同項の行政機関等の使用に係る電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時に当該行政機関等に到達したものとみなす。

とあります。

つまり、国税庁のサーバーにデータが記録されると、電子申告(e-Tax)で提出したことになります。

その提出の根拠となるのが、メッセージボックスの受信通知における「受け付けました」という表示です。

つまり受信通知を確認することは、紙の申告書に押印があるかを確認することと同じである、といえます。

まとめ

e-Taxによる送信後は、「受信通知」を確認する必要性をお伝えしました。

記事中でお伝えしたとおり、自分が確認しなかったことでミスが発覚し、あとで税務署に何かいっても、過去の事例を見るに納税者の言い分は認められていません。

今後、電子申告がさらに広まれば、その提出をめぐっては、もめ事も増えると予想されます。

とくに、2020年分(令和2年分、2021年3月提出期限)の確定申告からは、青色申告決算書の提出において、電子申告をした場合は10万円の所得控除のインセンティブが生まれ、電子申告の利用も促進されるものと考えます。

e-Taxの操作に不慣れな納税者にとっては、少々ツラい面もあるかもしれません。しかしここで述べたとおり、きちんと送信されたかどうかを確認する唯一の方法が「受信通知の確認」です。

「家に帰るまでが遠足」と同じように、「受信通知を確認するまでがe-Tax」である、と心していただきたいところです。

追記(2024/2/5)

税理士が顧問先の申告をするにあたり、「税理士の利用者識別番号」を顧問先の番号として記載して申告したところ、期限内申告が認められなかった非公開裁決があります。(令元.5.9 東裁(法)平30-134)

申告は期限内に送信されていますが、利用者識別番号は納税者のものではなく、税理士の番号として申告したことが問題となっています。なお、送信完了時の受信通知にエラーの表示はなかったものとされています。

この裁決事例を読むと、受信通知のエラー表示には限度があることもわかります。申告時には、利用者識別番号が「本当に自分のものであるか」もきちんと確認しておくことが必要です。

この事例を紹介する記事を書きました。

e-Taxの送信にあたっては、申告する納税者の利用者識別番号(ID)が必要です。では、この利用者識別...

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