2023年10月以後のインボイス制度では、インボイスの受領が基本です。ビジネス上の飲み会のあとのインボイス受領を考えてみます。あまり堅苦しくない話なので、気楽にお読みください。
2023年10月以後はインボイスが必要
接待や交際など、ビジネスのための飲み会のあとでは、これまでもレシートや領収書を受け取っており、これをもとに経費精算などをしていたものと思います。
いままではレシートや領収書があればそれで問題なかったわけですが、今後はインボイスとしての形式を満たす書類が必要になるかもしれません。
ここで気になるのが、飲み会のあとに酔った頭でそこまで考えが回るのか、という微妙な難しさです。
小規模の居酒屋に行った場合
例えば、個人経営の居酒屋に接待交際目的で行ったとして、レジで発行されるレシートにインボイス番号が記載されているということは、あまり期待できそうにありません。
そうなると、領収書を別途発行してもらい、その領収書でインボイスの形式を満たせるようにお願いすることになると思われます。
レジを打っている店員さんに「インボイスをお願いします」と伝えたら、どのような反応が返ってくるのかは、その場になってみないとわかりません。
返ってくる反応は「はい、わかりました」ならいいですが、「領収書なら出せますけど。インボイスってなんですか?」かもしれませんし、「うちはインボイスはやってないです」という反応かもしれません。
もしインボイスをもらえたとしても、そこで発行されたインボイスが本当に要件を満たしているのかは、酔った頭で判別するのは難しいです。
「インボイス」として受け取った領収書をよくみたら、なんのことはない、インボイス番号のない普通の領収書だったという可能性もあります。
これらを酔った頭で判別して対応するのは、意外に難易度が高そうです。
とはいえ、仮にインボイスとしての要件を満たしていないとしても、それを訂正するように要求することも難しいのが実情でしょう。インボイスを受け取ったら、チェックまで念入りにできるかというと難しいところです。
規模の大きめなお店に行った場合
規模の大きめなチェーン系のお店に行ったとしても、気は抜けません。
レシートが発行された時点で、そのレシートがインボイスとしての要件を満たせるかは、やはりレシートが発行されてみないとわかりません。
このレシートに「T」はあるか? という「T探し」が始まります。まるであの芸人さんのごとく、レシートから「T」を探すのは、酔った頭では一苦労です。
レシート発行後にインボイスを確認する手間を考えると、それよりも先に、あらかじめ「インボイスをください」と申し出たほうがスムーズなように思われます。
レジで対応している店員さんに「インボイスをお願いします」と伝えたあとは、その発行された領収書がインボイスになっているかを、やはり自分でチェックする必要はあるでしょう。
レジで発行されるレシートがあらかじめインボイスの形式を満たしているのであれば、「レシートがインボイスを兼ねております」という案内もあることでしょう。
これまで「領収書をお願いします」と伝えていたのであれば、今後は「インボイスをお願いします」に変化しそうです。
「レシートがあれば領収書は不要」説も微妙に影響を受ける?
たまに耳にする説として、「レシートはそれそのものが領収書であるから、わざわざ別途の領収書を発行してもらう必要はない。むしろレシートのほうが明細が書いてあるだけ証拠力は高い」というものがあります。
別途の領収書を発行してもらっていた意味は、手書きで会社名を宛名に書くことで、不正を防止するけん制効果を期待している可能性もあるようにも思われますが、どこまで効果があるのかはわかりません。
ところで、上記で考えたインボイス受領の流れを考えると、接待交際後のインボイス受領においては、レシートではなく別途領収書をもらうことでインボイスとする、ということが通常と思われます。
この別途領収書とあわせて、明細が書かれているレシートもあわせて添付すべきかは、会社の経費精算における対応によるでしょう。(別途領収書を発行すると、レシートは店側に回収されてしまう場合もある)
とりあえずいえそうなこととして、「レシートがあれば別途領収書は不要」論は、インボイス制度後の実務では、すこし違った考え方になる可能性があるということです。
代金を割り勘している場合も、これまでどおり領収書(インボイス)を実際の負担額ごとに分割して発行してもらう必要があるでしょう。
まとめ
接待交際後は酒で酔っているので、インボイスの確認って微妙にしづらいような…… と気になったので、これを整理してみる記事でした。
お店で発行されるレシートではなく、別途領収書を発行してもらい、これをインボイスとすることが通常であると思われます。領収書の発行はこれまでどおりですが、インボイスであるかを確認することがポイントです。
こうして考えてみると、この話はべつに接待交際に限らないのでしょう。
「これまでもフツーに領収書を発行してもらっていたけど?」という意見もあるかもしれません。しかし、領収書としてのレシートが発行されるにもかかわらず、別途手書きの領収書を発行してもらうことは、宛名の記載が不要とされる小売・飲食店などの利用では必須ではありませんでした。
今後においては、レシートまたは領収書を受領したとして、それがインボイスであるかということを気にする必要があります。
接待や交際を目的として、インボイスの確認ができないほどに酒を飲むことはないでしょうが、アルコールへの耐性は人それぞれです。金額が大きいことが予想されれば、お店の選定時や宴会の開始前に、インボイス発行の可否を確認しておくことも必要になるのかもしれません。