会計と税法上の耐用年数の決め方は「同じである」ではなく「同じでもいい」

前回の記事で、10万円未満の固定資産に関する処理は損金経理が要件とされているものの、分割払いだとその要件が抜け落ちて盲点になりやすいのではと指摘しました。

前回の記事では会計における固定資産の扱いに触れましたが、その派生として耐用年数についても考えてみます。

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税法上の耐用年数=会計の耐用年数……?

減価償却費を計上するときに、税法上の耐用年数を調べて固定資産台帳に入力するのは、中小企業の実務では一般的だと思われます。

しかし、この税法上の耐用年数は、会計の耐用年数としてあらかじめ決められたものではありません。会計としては、その固定資産にふさわしい、適切な耐用年数を採用するのがルールです。

しかし、その適切な耐用年数が分からない、もしくは、償却超過額・不足額が出ないように税務上の簡便さを優先したいことから、税法上の耐用年数を会計でも同じように用いて、減価償却費を計算しているわけです。

会計士の方や中堅企業以上の会計を扱う人が読めば、「そんなの当たり前だろ、なに得意げにいってんだ」と、ブログ筆者を罵倒したくなる感想をお持ちになるでしょう。

ところが、規模の小さい会社を扱い続けていると、このような観点は抜け落ちがちになります。「会計の耐用年数とは税法上の耐用年数である」と、決め込みがちになりやすいのでは……と思われます。

固定資産の耐用年数と中小企業の会計

固定資産の耐用年数に関して、中小企業の会計に関する指針では

減価償却における耐用年数や残存価額は、その資産の性質、用途、使用状況等に応じて合理的に決定しなければならない。ただし、法人税法上の耐用年数を用いて計算した償却限度額を減価償却費として計上することも認められる。

と書かれています。

また、中小企業の会計に関する基本要領では、

減価償却は、固定資産の耐用年数にわたって行います。実務上は、(5)にあるように、法人税法に定める期間を使うことが一般的です。ただし、その資産の性質、用途、使用状況等を考慮して、適切な利用期間を耐用年数とすることも考えられます。

と書かれています。

抜粋すると、指針では「資産の性質、用途、使用状況等に応じて合理的に決定」→「法人税法上の耐用年数・・・も認められる」という書き方です。

要領では、「実務上は・・・法人税法に定める期間を使うことが一般的」→「資産の性質、用途、使用状況等を考慮して、適切な利用期間を耐用年数とすることも考えられます」とあります。

比較してみると、要領では税法上の耐用年数を「使うことが一般的」として、容認する姿勢が強いように読めます。

これらを読めば、「税法上の耐用年数=会計の耐用年数」という話は、考え方の順序を無視して、結論だけを拾い上げていることがわかります。

そうはいっても、中小企業の実務では普通に「税法上の耐用年数=会計の耐用年数」なのでしょうし、その点について異議を唱えるつもりもありません。ここで述べたのは、順序を無視した思い込みがあるかもしれない、という話です。

まとめ

中小企業における会計と税務上の耐用年数について、指針や要領をもとにその考え方を整理しました。

耐用年数が「税法=会計」というのは、結論的にそうなったとしても、あらかじめ決まったものではないということです。

「減価償却超過額・不足額」の意味がわかっていても、別表に数字が入らない理由はなぜなのか。その点の認識は持っておきたいところです。

会計について私のような税理士が触れると、「どこか」の琴線に触れてしまうようなのですが、あくまで一般的な内容についての記事であるとお考えください。

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