GAS(Google Apps Script)を利用して、Googleスプレッドシートの仕訳データを会計freeeに転送できるしくみをご紹介します。
説明のポイント
- Googleスプレッドシートから会計freeeにデータを直送することの意味と背景
自動連携できない仕訳をどうするか?
銀行やクレジットカード、レジアプリなどの指定のサービスは、クラウド会計と連携させることで、そのデータを自動で、仕訳候補として取り込むことができます。
では、指定サービス以外のデータは、どのように取り込めばいいのでしょうか?
中小企業の実務では、会計ソフトの指定する形式のCSVデータに加工し、出力して、そのCSVを会計ソフトにインポートする、ということが行われています。
これは当たり前の話というか、口座の自動連携システムが登場するよりも以前は、その方法しか存在しなかったのです。
freee APIなら、手順が減らせる
会計ソフトは、会計ソフトが理解できる指定の形式しかインポートできません。
では、このインポートをどうしているのかといえば、それは、みなさんが嫌いな「手作業」です。
表計算ソフトと会計ソフトの間で、CSVのキャッチボールを自動でやってくれないので、しかたなく、自分で手作業が必要なのです。
ところが、APIを利用すれば、そのキャッチボールを実現できます。
会計freeeは、「freee API」を公開しています。このAPIを用いて、表計算ソフトでデータを指定の形式に整えると、そのまま会計freeeに仕訳データとして取り込むことができるわけです。
これは、会計事務所や経理担当が「待ちこがれていた」ような連携システムといえるでしょう。下の画像は、Googleスプレッドシートとの連携図です。
引用:【freee API】GASを用いてGoogleスプレッドシートと連携する (freeeヘルプセンター)
Gsuiteとfreeeは親和性が高い
Googleスプレッドシートを含む「Gsuite」は、Googleの提供するオフィス向けグループウェアです。
クラウドベースですので、同じく、クラウドベースの会計ソフトであるfreeeとは親和性が高いといえます。
クラウドであれば、これまでのような「確認したいので、いったんメールで添付して送ってください」という手順は不要で、リアルタイムのデータが共有できるのです。
セキュリティという面でも、天下のGoogleが提供するサービスですので、その信頼度は高いといえます。
指定の形式に加工する技術が問われる
そうすると、問題は「freeeが指定する形式」にデータを整形する、という点です。
帳票データを解析して、いい感じにデータとして取り込んでくれる……そこまでの「バラ色」なシステムではありません。
会計freeeが理解できる形式には、やはり、自分で整える必要があるのです。
この点からいえるのは、Googleスプレッドシートを加工して、freeeの指定形式に整える技術が必要になる点でしょう。
この技術を備えれば、作業効率は格段に上がるといえます。
引用:【freee API】GASを用いてGoogleスプレッドシートと連携する (freeeヘルプセンター)
Gsuiteの活用で用途が広がる
ここまで、freee APIとGASを活用し、指定の形式に整えることで、Googleスプレッドシートから会計freeeに仕訳データを送信できることを説明しました。
ということは、他のデータもGoogleスプレッドシートに集めることで、仕訳入力などに活用できる、という選択肢も生まれます。
こうした可能性を追求するためには、GAS(Google Apps Script)への理解が重要です。
データを便利に処理するためには、GASのプログラミングが必要となるからです。
活用方法の一例では、freeeのホームページを見ると、
- スプレッドシートから取引をアップロードした際に確認メールを送信
- Googleフォームで貯蔵品の使用や経費を申請し、その取引データをfreeeに送信
- 取引の支払期日をGmailやGoogleカレンダーでリマインドする。Googleドライブでスプレッドシートの権限管理をする
- 複数のスプレッドシートのデータを組み合わせる
といった実例が紹介されています。
GASをよく理解するためには、プログラミングの本を購入すべきでしょう。
昨年(2017年)12月に出版された『Google Apps Script完全入門』は、手元に置いておきたい一冊です。
Gmailのアカウントがあれば、いますぐに始めることができます。これほど開始コストの低いプログラミングも、なかなか見当たらないのでは?
まとめ
この記事は「freee APIは何が便利なのか?」を理解するために、わかりやすい解説記事を書きました。
重要なポイントは、CSVの出力~会計ソフトへのインポートが不要になる点です。
また、付随的には、Googleスプレッドシート自体がクラウドであるため、データの共有・活用という意味でもメリットがあるでしょう。
実際にGASとfreeeAPIを連携させて、仕訳として送信する実例は、記事が長くなってしまうので、今後の記事でお伝えします。