すでに電子申告(e-Tax)に対応できている申告者が、あえて「ID・パスワード方式」を利用する場合の対応について述べます。
説明のポイント
- すでに電子申告に対応しているひとが、2019年からスマホで電子申告したい場合
- 現行の利用者識別番号に、本人確認済みの認証を付与する必要がある
- 2018年は税務署で申請、2019年からはネットでも申請可能
すでに電子申告しているが、今後はスマホで申告したい
――文句のつけようがない、完璧な状態です。この電子申告は、パソコンでやっていることでしょう。
それが、2019年からは、スマートフォンによる電子申告も可能になります。
今後は、パソコンじゃなくてスマートフォンで電子申告したい場合、いったいどうすればいいのでしょうか。
(スマートフォンとパソコンの操作性を比較すると、そんな人はほとんどいないでしょうけれど)念のために述べておきます。
「ID」と「利用者識別番号」は同じ
2019年から始まる新しい認証方式「ID・パスワード方式」は、マイナンバーカードを取得していない人向けの措置と見る向きが強いですが、それ以外にも「スマートフォン対応」という点も重要です。
その詳細は、国税庁の周知するチラシ(PDF)を見るのがよいでしょう。
マイナンバーカードとスマートフォンの関係でいうと、e-Taxでの認証は未対応です。よって、スマホでの電子申告は、新方式における「本人確認済みのID」を認証として利用します。
この認証方式を「ID・パスワード方式」といいます。
「ID・パスワード方式」のIDとは、いま保有しているe-Taxの利用者識別番号と同じものです。
すでに電子申告を利用していれば、「1234-5678-9012-3456」といった、16桁の利用者識別番号を持っていることでしょう。
その利用者識別番号に、本人確認済みの認証を付与したものが、「ID・パスワード方式」におけるIDということになります。
認証済みのIDでは、マイナンバーカードによる認証は不要とされます。
番号を「ID・パスワード方式」に対応させる
すでに保有している利用者識別番号を使って、スマートフォンで申告する場合には、その利用者識別番号に本人確認済みの認証を付与する必要があります。
「ID・パスワード方式」の申請は、2018年4月から税務署で受け付けています。(ただし利用できるのは2019年1月から)
2019年からスマホ申告を希望する場合は、税務署に行って、「ID・パスワード方式」を利用することを申請しましょう。
ただし、すでに利用者識別番号を保有していることを税務署に伝えないと、IDの二重取得になる恐れがあります。
つまり、申請のポイントは、
- 利用者識別番号をすでに保有していること(その番号も税務署に伝える)
- 2019年からはスマートフォンで申告したいこと
の2点を伝えて申請すればよいでしょう。
これにより、税務署で本人確認が実施されて、現在保有している利用者識別番号(ID)に本人確認済みの認証情報が付与されることになります。
2019年1月からはネットで申請もできる
2019年1月からは、税務署に行かなくても、ネットで「ID・パスワード方式」の申請ができるとされています。ただし、この申請にはマイナンバーカードと、ICカードリーダーが必要です。
つまり、本来であれば普通にマイナンバーカードを使った電子申告ができる環境で、あえて「ID・パスワード方式」を望む人に向けた措置、ということになります。
マイナンバーカードがあれば、その電子証明書で本人確認ができますので、税務署にいく必要はないよ、ということでしょう。
まとめ
2019年から、あえてスマートフォンで電子申告を熱望する人に向けて、現在の利用者識別番号と、「ID・パスワード方式」におけるIDとの関係を整理しました。
おさらいすると、
- 現行の利用者識別番号と、新方式でいう「ID」は同じもの
- 本人確認済みの情報を付与することで、新方式のIDとして利用でき、スマホで申告もできる
- 2019年からはネットで申請も可能
ということになるでしょう。
【余談】税理士は「ID・パスワード方式」を利用できるか?
税理士にだけ、関係のある情報です。
税理士が利用する利用者識別番号は、「代理送信権限」という特殊な機能を付与されているため、「ID・パスワード方式」を申請すると権限を喪失する、という回答を国税庁から得ました。
つまり、個人の開業税理士は、スマホで電子申告はできないことになります。(税理士なのに……)