帳簿入力の救世主か?仕訳代行サービス「STREAMED」を試す

帳簿づくりを手伝ってくれるネットサービス「STREAMED(ストリームド)」を紹介します。

この記事は、一般の個人事業主が利用を検討することを想定した記事です。法人や会計事務所が利用する場合、メリットや考え方は微妙に異なる場合がありますのでご注意ください。

説明のポイント

  • 領収証の入力代行サービスである「STREAMED」を紹介
  • 入力を会計事務所に依頼しなくてよい
  • ネットで作業が完結する
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一番大変なのが、帳簿づくり

確定申告でよくある悩みといえば、「領収書がいっぱいになった封筒の処理」でしょう。

では、なぜわたしたちは確定申告までに領収書を処理する必要があるのでしょうか? そもそも、その「処理」とは何でしょうか?

その答えですが、「領収書の整理は、確定申告をするための集計」に関係があります。

まず、確定申告までの過程をおさらいしてみましょう。簡単に流れをしめすと、次のとおりです。

  1. 請求書や領収書をあつめる
  2. 帳簿をつくる
  3. 帳簿から損益を集計する
  4. 集計値を申告書に書き写して、税金をおさめる

この流れでもっとも大変なのが、2の「帳簿づくり」です。帳簿を作るためには、領収書の数字を帳簿に書き写す必要があるためです。

しかし、自分でやるのは大変で時間もあまり無い……ということもあるでしょう。そこでおすすめするのが、領収書の入力代行サービスです。

入力代行サービスとは?

記帳を代行する専門サービスだけを考えてみると、別にめずらしいものではありません。昔ながらの方法では、会計事務所にお願いするイメージが強いでしょう。

しかし、帳簿作成そのものは、必ずしも会計事務所に頼む必要はありません。

なぜなら、会計士や税理士などの資格がなくても、帳簿作成を代行することはできるため、会計事務所以外の一般会社が帳簿の代行作成を引き受けていることもあります。

インターネットで帳簿作成を依頼できる

そんな記帳代行サービスも、インターネットの発達により進化しています。どういうことかというと、インターネットを通じた「外注化」が実現しているのです。

ここでいう「入力代行サービス」とは、以下のようなサービスです。

まず、利用者が領収書の画像データを送信します。

すると、その画像データを受け取ったサービス会社が、帳簿用のデータを作成します。利用者はできあがった仕訳データを出力して、会計ソフトに取り込めば帳簿が完成します。

ここで重要なのは、作業依頼から仕訳データの出力まで、ネットでやりとりが完結するということです。

昔ながらの方法のように、会計事務所に連絡して、代行を頼む手間は一切ありません。電話をかけて契約をお願いしたり、領収書の封筒を送付する必要もありません。

つまり、外出不要でハードルも低く、帳簿づくりの代行をお願いすることができます。

STREAMEDとは?

STREAMEDのサイト画面

記帳代行サービスの現状がわかったうえで、本題に入りましょう。

ここで紹介する「STREAMED(ストリームド)」は、株式会社クラビスが提供するネットサービスです。

株式会社クラビスは、クラウド会計ソフトを提供するマネーフォワードの買収を受け、同社の傘下となっています。

この記事を最初に書いた当初の2016年2月では、なんとなくベンチャー企業のイメージが強かったため、帳簿データを預けてよいのか不安な印象もありました。

その後、2017年11月にクラビスがマネーフォワードの傘下になったことで、データを預ける面での安心感は増したといえるでしょう。

STREAMEDでどんなことができる?

STREAMEDでできることを確認します。

まず、ユーザーが領収書の画像データをSTREAMEDに送信します。すると、

  • 日付
  • 勘定科目(貸方・借方)
  • 摘要
  • 金額

の仕訳データが作成されます。

この仕訳データをcsvで出力し、会計ソフトにインポートできます。多くの会計ソフトに対応しています。

細かい設定も可能で、勘定科目や出力形式を設定できます。

STREAMEDの出力形式選択

データ作成のしくみはどうなっている?

ちょっと気になるのは、サービスを提供するSTREAMED側でどのような処理をしているのか? というデータ作成のしくみです。

このしくみですが、STREAMED側の入力担当者が、領収書の画像データを見ながら手入力しているとのことです。(入力担当者の所在が国内・国外なのかは不明)

データが作成できるまでの時間は「1営業日」とされています。

下記の画像は、作業依頼中の画面です。入力依頼中のデータは「自動データ化中」と表示されており、入力が終わると順次仕訳が表示されます。

STREAMEDのデータ化中画面

入力担当者へのデータ送信はどうする?

領収書データを送信する方法は、いくつかの方法があります。詳しく見ていきましょう。

  1. スマホアプリからの撮影
  2. スキャナーで取り込み → ウェブからアップロード
  3. スキャナーで取り込み → 専用ソフトからアップロード
  4. 専用ソフト経由でスキャン

1.スマホアプリからの撮影

もっとも手軽なのは、スマホアプリからの撮影です。アプリは、iOSとAndroidに対応しています。

スマホアプリを使えば、スキャナーを持っていない場合でも利用できます。スマホで撮影した画像データは、クラビス側のサーバーに直接アップロードされます。

ただし、領収書を1枚1枚撮影するのは手間です。時間がかかるのが弱点といえるでしょう。

2.スキャナーで画像取り込み →ウェブでアップロード

時間短縮を図りたいなら、領収書の読み込みに強いスキャナーを使うことがオススメです。

スキャナーで取り込んだ領収書の画像を、クラビスのサーバーにアップロードします。ブラウザの画面から画像データをアップロードすれば、データ送信は完了です。

ただし、この方法も画像を一つ一つアップロードすることになります。大量の画像を一括送信することができませんので、やはり不便さを感じます。

STREAMEDの領収証読み込み

3.スキャナーで画像取り込み →専用ソフトからアップロード

上記2に似た方法ですが、Windowsを使用しているなら、専用ソフト「アップローダー」を使って、手もとにある複数の画像データを一括送信できます。

スキャナーで読み込んだ画像を、専用ソフトのアップロードボタンから送信できます。

4.専用ソフト経由でスキャン(おすすめ)

もっとも早い方法は、専用ソフトからスキャンして、直接アップロードする方法でしょう。筆者がおすすめするのも、この方法です。

上記3と同じ専用ソフト「アップローダー」を使用し、ScanSnapなど指定のスキャナーを使っている場合、画像データを直接サーバーにアップロードできます。

STREAMED Uploaderの画面

なぜこの方法が速いのかといえば、スキャンした画像をWindowsに取り込む必要がないからです。

スキャンした画像は、そのままSTREAMED側のサーバーにアップロードされます。つまり、中間処理がはぶけるわけです。

ただし、次の利用要件を満たす必要があります。

STREAMEDの利用料金は?

個人事業主向けの有料プランは、「ライト」「ベーシック」「プレミアム」の3種類になっています。(2020年11月現在)

このうち、「ライト」「ベーシック」のプランを比較してみます。

  • 「ライト」の場合、月額950円で50枚まで作成可能、その先の追加料金は1枚30円
  • 「ベーシック」の場合、月額1,950円で100枚まで作成可能、その先の追加料金は1枚20円

プランごとの入力枚数と料金の比較表を作成しました。金額はいずれも税抜です。

入力数 ライト ベーシック
50枚 950円 1,950円
84枚 1,970円 1,950円
100枚 2,450円 1,950円
150枚 3,950円 2,950円

毎月84枚以上を入力する場合は「ベーシック」がお得です。

実際に試してみました

実際に使って試してみたレポートも載せておきます。ここでは、スマホアプリで領収書を撮影するという、お手軽な方法でやってみました。

スマホでレシートを撮影すると、その領収書のデータがSTREAMEDのサーバーにアップロードされていることが確認できます。

このデータをもとにして、代行作成されたデータを見ると、その仕訳はしっかりと作成されています。とくに問題を感じることはありませんでした。

STREAMEDの領収証処理画面

読み込んだデータの精度もかなりよい感じです。すこし意地悪な処理も試してみましたが、

  • 手書きの領収書 →対応できた
  • 割り勘のために書き込んだ金額の修正 →修正後の金額で入力した

という対応でした。いずれも合格といえるでしょう。

こうした処理は、OCR(光学認識)の読み取りに比べると圧倒的な差があります。人の手で直接入力しているということですが、その制度を実感できました。

まとめ

入力代行サービス「STREAMED」を紹介しました。料金はかかりますが、負担を軽減できるサービスとして、利用価値は大いにあるでしょう。

利用上の注意点としては、スマホアプリでは限界もあるということです。このサービスを利用したい人は、大量の領収書が封筒からあふれんばかりになっている……ということも多いはずです。

そのような場合は、専用スキャナーでの読み取りがあるとスピーディーでしょう。

現在はクラウド会計ソフトの利用者が増えています。しかし、現金払いの領収書は、データの自動連携ができないので、どうしても手作業での入力が必要です。

こうした手作業の部分については、入力代行サービスを活用したアウトソーシングによって、作業のほとんどを自動化することも夢ではないでしょう。

■STREAMED(ストリームド)
https://streamedup.com/corporation

記事初出は2016年で、現在の利用状況にあわせて記事を改定しておりますが、最新情報については、公式ホームページでご確認をお願いします。

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