前回に引き続き、空き家譲渡の特別控除に関して筆者が気になっていることを、メモ代わりに載せておきます。興味のある方はご一読ください。
説明のポイント
- 空き家譲渡の特別控除は、令和元年度改正で緩和されたが、それでもこぼれ落ちるケースはありうる
空き家譲渡の特別控除と老人ホーム入居
前回の投稿で、空き家譲渡の特別控除に関する裁決事例を紹介しました。
最後の親から、土地建物をセットで相続することが、特例の重要なポイントでした。
つまり、両親のうち片親が亡くなった時点で、土地・建物を子が相続することは、この特例の適用の機会を失わせることにつながります。
老人ホーム入居による制度緩和
空き家譲渡の特別控除は、最後の親が亡くなったことで、その空き家となった土地建物を相続&譲渡した場合に適用されます。
この制度が創設された平成28年では、最後の親が老人ホームに入居した場合には、適用対象外とされていました。
これが令和元年度改正で緩和され、最後の親が老人ホームに入居して亡くなった場合でも、適用が認められるようになりました。(参考:タックスアンサー)
しかし、親が老人ホームに入居している場合でも、この制度の適用からこぼれ落ちるケースがあり得るように感じます。
両親が同時に老人ホームに入居したら?
先ほども述べたとおり、この空き家譲渡の特別控除は、最後の親からの相続に注目しています。
これは、最後の親が亡くなることで、土地建物が放置され、空き家となるわけですから、ある意味当然です。
そして、老人ホーム入居に関しても、独り残された最後の親が老人ホームに入居して、やがて亡くなることが想定されているようです。
しかし、老人ホームに入居するケースとしては、「両親が同時に入居」という場合もあるでしょう。
この場合、空き家譲渡の特別控除の適用からこぼれ落ちるケースになりうるのでは……と考えられます。
両親が同時入居した場合は……?
具体的に述べてみましょう。
適用の要件は、最後の親が老人ホームに入居した時から、その最後の親が亡くなるまでのあいだに、その家に誰も住んでいないことが要件とされています。
しかし、夫婦同時に老人ホームに入居したわけですから、老人ホーム入居の時点では「両親ともに健在」でした。
このことから、最後の親が老人ホームに入居した時点では、完全に一人親になっていないことになり、「最後である親が老人ホームに入居した以降、誰も家に住んでいない」という要件を満たせない……とも考えられます。
特例制度ですので、あらゆる事態を想定することはできず、状況が限定的であるのは、やむを得ないのかもしれません。
まとめ
空き家譲渡の特別控除について、少し気になっていることを載せてみました。
実はこの件、令和元年度税制改正の法令改正案が出てきたときに、知人の協力も得て調べた話なのですが、前回の記事で空き家譲渡の特別控除のことを触れたので、ついでに載せてみました。