話題のクラウド型会計ソフトは、現状でどれぐらい利用されているのでしょうか。データをもとに確認します。
説明のポイント
- クラウド会計ソフトのシェアは調査によって異なるが、5%~13%くらい。
クラウド会計の評判ってどうなの?
当オフィスでも注目している、クラウド型の会計ソフト。
会計ソフト未経験者や、会計ソフトに触る機会の少ない個人事業主の場合だと、おおむね高評価という感じです。
その一方で、これまでパッケージ型の会計ソフトを使っていた経験者からすると、クラウド型は「動作が遅いので使いづらい」というコメントが必ず聞かれます。
先日は、「クラウド会計ソフトって、実際どれぐらい使われているんですかね?」という質問を受けました。つまり、クラウド会計のシェアはどれぐらいか、ということです。
調査結果から見てみる
その質問の答えは、意外と簡単に調べることができました。クラウド会計ソフトを提供する会社が、「当社がNo.1」を強調するため、調査結果を引用元として示すからです。今回は3つの調査結果からシェアを確認します。
1.デジタルインファクトの調査
デジタルインファクトの調査結果は、クラウド会計ソフトfreeeが、「当社がNo.1」を示す根拠として使用しています。
サイト:第四回 クラウド型会計ソフトの利用動向調査を実施しました(デジタルインファクト、2016年8月4日)
この調査結果では、会計ソフトを利用している事業所のうち、クラウド会計の割合は13%(法人・個人合計)とされています。法人・個人を別々に見ても、ほぼ13%程度の割合です。
また、クラウド会計ソフトの利用別シェアは、シェアの大きい順番で次のとおりです。
- 個人の場合は、freee(35.9%)→弥生(34.1%)→マネーフォワード(13.8%)
- 法人の場合は、freee(51.3%)→フリーウェイ(17.5%)→マネーフォワード(11.3%)
2.MM総研の調査
MM総研の調査結果は、「MFクラウド会計」(法人向け)と「MFクラウド確定申告」(個人事業主向け)が、「当社がNo.1」を示す根拠として使用しています。ちなみにシェアNo.1ではなく、「ユーザー数 純増No.1」としています。
サイト:クラウド会計ソフトの利用状況調査(2016年3月末)(MM総研、2016年5月16日)
この調査結果は、個人事業主だけに限った調査です。そのなかで、クラウド会計が利用されている割合は9.2%とされています。
また、クラウド会計ソフトの利用別シェアは、弥生(53.1%)→freee(22.9%)→マネーフォワード(16.1%)の順番です。
3.帝国データバンクの調査
中小企業庁の発行する『2016年版 中小企業白書』において、「中小企業におけるITの利活用」という項目があります。そのなかに、クラウド・コンピューティングがどれぐらい利用されているのかを示す調査結果がありました。
調査対象は中小企業です。調査時期は2015年12月で、実施会社は帝国データバンクです。
▲『2016年版 中小企業白書』2 中小企業のIT活用の実態 第2-2-9図より
この調査の「財務・会計」を見ると、「クラウド・コンピューティング」の占める割合は5.2%とされています。
まとめ シェアはどれぐらい?
調査対象の集団の違いによって、割合に差が生じていますが、3つの調査結果を見ると、5%~13%という結果でした。
既存のパッケージソフトユーザーが、今後どれぐらいクラウド会計ソフトに移行するのかという点で注目しています。