国税庁の示す土地の評価方法である「路線価方式」について、その見方を解説します。
説明のポイント
- 路線価は国税庁の決めた「時価」
- 路線価に土地の面積を乗じて、土地の評価額を算出する
- 国税庁ホームページで、路線価を調べることができる
路線価とは?
土地は、ハッキリとした金額を示すことが難しい財産です。
売り手と買い手が合意した瞬間は、その土地の金額がハッキリしますが、時間が経過すれば、条件は変わってしまいます。
相続税の計算する場合には、亡くなった方(被相続人)の財産の「時価」を集計する必要があります。しかし、納税者が財産を集計する場合に、みんながそれぞれ考えた土地の「時価」を主張すると、統一性に欠けて不公平さが生じます。
このような事態を避けるため、国税庁は独自の基準を定めました。人が住んでいる宅地に隣接する路線に「路線価」(ろせんか)という値段をつけて、この路線価を基準に土地の「時価」を計算するというものです。
路線価は「時価」か?
路線価は国税庁の定めた基準としての「時価」です。
路線価は、公示地価から2割を目安に割引きされています。これは、公示地価よりも高い評価額にならないように「2割減」の余裕をもたせることで、納税者が不利にならないように配慮されています。
このため、路線価を0.8で割りもどせば、路線価からおおよその公示地価を調べることができます。
本来は、公示地価のほうが一般的には土地の時価に近いはずですが、国税庁は路線価を「時価」とすることを認めています。
路線価を見てみよう
路線価は、国税庁のホームページから確認できます。
参照:財産評価基準書|国税庁
この路線価は、毎年7月1日にその年のものが発表されます。その内容は、国税庁の「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で閲覧できます。
具体的に、路線価を1つ確認してみましょう。路線価のページに移動すると、日本地図が表示されていますので、「東京」を選択します。
ここでは「路線価図」を選択します。
市区町村の選択画面です。ここでは「北区」を選択します。
地名の表示です。ここでは「赤羽西1」の「45020」を選択してください。
路線価図が表示されました。なお、ブラウザの設定によっては、PDFが別画面で表示される場合もあります。
当オフィスの入居する建物のある土地の路線価を見てみましょう。
土地の場所として、赤い四角を記入しました。その土地に接している路線が、「路線価」になります。この場合、400Cと260Cの2つの路線価がありました。基本的には、高い方の路線価を意識すればOKです。
「400」とは、400千円の意味です。つまり、1平方メートルあたり「400,000円」の路線価ということです。
「C」の意味は、借地権の割合に関する表示です。土地に借地権が設定されていたり、賃貸物件がある場合に影響します。その土地に自宅が建っているだけならば、無視してかまいません。
路線価の計算方法
路線価がわかれば、あとは簡単です。具体的に路線価方式による計算をしてみましょう。
路線価の金額(千円単位)に地積(土地の面積)を乗じて、大まかな評価額を算出します。
例えば、路線価400Cに接する土地の地積が100㎡だとすると、
- 路線価400,000円
- 地積100平方メートル
- 路線価(a)×地積(b)=40,000,000円
と計算できます。今回のように路線価が複数ある場合や、その他の土地の形状や要素によって、評価が変わることもあります。
具体的に路線価をもう少し計算してみたい場合には、国税庁の用意した相続税試算システムがおすすめです。下記の記事をご覧ください。
簡単すぎる計算方法から生じる疑問もある
路線価による計算は、全国共通の方法なので、一見して「公平」に見えます。
しかし、それはそれで別の問題を生み出します。計算方法が画一的なので、逆にそれを利用して「節税」を試みる人々もいるためです。例えば、最近話題の「タワーマンション節税」などはその代表例です。
また、土地の価格を調査する専門職として不動産鑑定士という職業があるのに、これを無視していることも問題です。
公平性、簡便性というメリットのある路線価方式ですが、一律に計算する方法には、疑問を持つ人がいることも知っておきましょう。
まとめ
路線価の意味と、国税庁ホームページでの路線価の探し方を紹介しました。これを知っておけば、誰でもおおよその土地の評価を知ることができます。
初めて路線価を見る方は、日本で一番高い路線価である「東京都中央区銀座5丁目」を見てみることをおすすめします。
参照:財産評価基準書|国税庁