平成28年度税制改正において、見送りとなった検討事項を点検します。
平成29年度以降の動きを占う意味でも確認しておきましょう。以下に一覧表にしました。
平成29年度以降の検討事項
区分 | 問題点 | 改正の方向性 | コメント | |
1 | 法人税 | 設備投資の伸び悩みと労働分配率の低下 | 企業の意識や 行動を変革する方策 |
すでに企業の投資促進や給与引き上げを 誘導する税制は作られているが? |
2 | 中小法人課税 | 資本金1億円以下の法人について一律に 同一制度を提供していることの妥当性 |
資本金以外の指標を 組み合わせる方法など、 基準の見直し |
今回28年度改正で、中小法人課税の優遇税制 の一つ「少額減価償却資産」で、1000人超の 企業は適用不可という人数要件が追加されている。 |
3 | 小規模企業 | 個人事業主、同族会社、 給与所得者の課税バランス |
所得税・法人税を 通じた総合的な検討 |
給与所得控除の削減は28年、29年で 段階的に実施。 |
4 | 地方法人課税 | 法人事業税の 外形標準課税の拡大 |
分割基準や資本割の 課税標準の見直し |
資本金1億円以下の企業に適用拡大を検討。 しかし、中小企業団体から猛反対の声。 |
5 | 個人所得課税 | ・金融所得課税のさらなる一体化 ・人的控除の見直し |
・株式とデリバティブの所得統合 ・寡婦控除、配偶者控除などの見直し |
・28年1月より、特定口座の対象拡大が実現。 さらに預貯金、デリバティブまで広げるか注目。 ・配偶者控除だけでなく、社会保険分野の 見直し議論も注目。 |
6 | 年金課税 | 公的年金の所得控除が 世代間の公平性を阻害 |
所得控除の見直し | 票を握る老年層に不利な改革を実行 できるか? |
7 | 事業承継 | ・個人事業者の事業承継の優遇措置 ・取引相場のない株式等の評価方法見直し |
・承継円滑化の支援措置 ・比準要素のあり方 |
取引相場のない株式等については、 「早急に」という文言が見られる。 通達のため、翌年改正を待たない変更もありうる。 |
8 | 相続税 | 今後策定する「都市農業振興基本計画」 との整合性 |
生産緑地が貸借された 場合の相続税の納税猶予制度 |
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9 | 消費税 | 医療における高額な設備投資 にかかる負担 |
税制上の措置 | 次回H29年度改正で結論を得るとされている |
10 | 酒税 | 同一分類の酒類間の税率格差が、 商品開発や販売数量に与える影響 |
・同一分類の酒類間の税率格差の縮小、解消 ・税率構造の簡素化、酒類の定義見直し |
一定の経過期間の下で段階的に実施、 とされている。TPPによる関税撤廃の影響も注目。 |
11 | 国際税制 | タックスヘイブン税制 ・航空機リース事業 ・トリガー税率 ・租税回避リスクの高い所得への対応 |
総合的な検討 |