会社が自分で電子申告を行う場合の手続きについて説明します。
説明のポイント
- 法人の電子申告では、社長のマイナンバーカード・住基カードを使用できる
- これ以外に必要なものは、ICカードリーダーだけ
税理士に依頼しない場合でも、電子申告できないか?
税理士と付き合いの無い会社が、自分で申告を行う場合は、紙の申告書で提出していることが多いようです。
また、決算の申告は税理士に依頼しているが、「給与所得等の法定調書」や「償却資産」の申告(いずれも毎年1月に実施)については、会社が自分で行っていることも多いです。
この場合でも、申告は紙で行っていることが多いようです。
紙でも問題はありませんが、電子申告ができれば、郵送の手間も省けて業務もスマートになります。
そこで、会社が自分で電子申告をする方法を案内します。
電子申告に必要なもの
会社が自分で電子申告をするにあたり、必要なものは次のとおりです。
- 社長のマイナンバーカード(住民基本台帳カードでもOK)
- ICカードリーダー
1.マイナンバーカード
2016年より始まったマイナンバー制度により、国内に住民票の登録がある人を対象に、マイナンバーが付与されました。
これにより、マイナンバーの「通知カード」が、2015年末に送付されています。
この通知カードには、「マイナンバーカード」の申請用紙がついています。マイナンバーカードは、市区町村の役場で交付を申請できます。料金は無料です。
▲マイナンバーカード総合サイトより引用
マイナンバーカードは、以前は「個人番号カード」と呼ばれていました。プラスチックのカードで、ICが内蔵されています。
そのICには、「電子証明書」が記録されています。電子証明書は、ネット上における「本人確認」の役割を果たします。
社長のマイナンバーカード(または住民基本台帳カード)があれば、法人の電子申告に使えますし、社長個人の確定申告にも使えます。
参考:法人が利用可能な電子証明書には何がありますか。(国税庁e-tax)
2.ICカードリーダー
マイナンバーカードの読み取りに対応したICカードリーダーを購入する必要があります。
対応機種は、以下のリンクで公表されています。
参考:ICカードリーダライタのご用意(公的個人認証サービスポータルサイト)
基本的には、ソニー製などを購入しておけば無難です。
事前準備を行おう
ICカードリーダーをパソコンに接続したら、パソコン内の環境をととのえます。
やるべきことは次のとおりです。
- ルート証明書・中間証明書のダウンロード及びインストール
- 信頼済みサイト及びポップアップブロックの許可サイトへの登録
- 届出書を提出して、利用者識別番号を取得する
なんだか難しそうですが、誰にでもできます。まずは下記のURLにアクセスしてください。
参照:e-Taxの開始(変更等)届出書作成・提出コーナー【事前準備】(国税庁e-Tax)
なお、Windowsの場合、ブラウザは「Microsoft Internet Explorer 11」を利用します。Googleのブラウザ「chrome」は利用できません。
1.ルート証明書・中間証明書のダウンロード及びインストール
まず、「手順③」をクリックします。
「ルート証明書・中間証明書インストーラー」をダウンロードして、インストールします。
2.信頼済みサイト及びポップアップブロックの許可サイトへの登録
もうひとつ、インストールするものがあります。
「手順④」のボタンを押し、「信頼済みサイト登録ツール」をダウンロードしてインストールします。
3.届出書を提出して、利用者識別番号を取得する
国税庁のネットワーク(e-Tax)を利用するため、利用開始の届出書を提出します。届出書は、電子申告でできますので、紙で作成する必要はありません。
「手順⑤」のボタンを押して、「届出書の選択」をクリックします。
電子申告(e-Tax)を初めて利用開始する場合の、届出書を提出します。ここでは「法人の方」を選びます。
また、以前に利用者識別番号を取得していた場合は、番号を再取得すると、税務署から確認の電話がかかってきます。この場合、今回取得した番号を利用すると答えましょう。
現在、税理士に税務を依頼している場合は、利用者識別番号を取得済みの可能性があります。この場合、新たに番号は取得せず、税理士とその番号を共有しましょう。まずは税理士に確認してください
「次へ」を選択します。
法人名称等、代表者情報、暗証番号などを入力して、届出書を送信します。申請後の画面で「利用者識別番号」が通知されます。
交付された利用者識別番号と暗証番号は、PDFで出力するか、印刷して保存しておきましょう。
まとめ
電子申告(e-Tax)を始める場合の事前準備について説明しました。
ここまでの大まかな流れを復習しましょう。
- 社長のマイナンバーカードの取得(無料)
- ICカードリーダーの購入(有料。3,000円~4,000円程度)
- パソコンの利用環境の整備
- 開始届を送信して、利用者識別番号を取得する
このうち、時間がかかるのは、社長のマイナンバーカードの申請です。
市区町村に申請しても、即日交付されるわけではありません。通常、2~3週間はかかるとされていますので、あらかじめ準備しておくことが望ましいでしょう。
参考:マイナンバーカード・マイナンバーカード交付申請について(マイナンバーカード総合サイト)
電子申告を利用した、給与所得等の法定調書の提出方法については、後日の記事で案内します。
参照:会社が自分で電子申告をする方法 e-Taxソフト(WEB版)で法定調書を提出する(当サイト、2016年12月2日)