【MFクラウド会計】「予定実現」大解剖!仕訳にどう連動しているのか?

MFクラウド会計における予定実現機能の、詳細な動作を検証します。

MFクラウド会計をバリバリ使っており、予定実現の動作が気になって、なんだか寝付きが悪いひとにおすすめの記事です。

説明のポイント

  • 未実現の予定仕訳を、実現させた場合の動作を検証している
  • 未実現の仕訳は、勘定科目だけが参照されている。数字は関係ない。
  • Q1~Q8の8項目で深掘り。
スポンサーリンク

 

まずは簡単な説明から

先に述べておくと、実は当ブログにおいて、MFクラウド会計における「予定実現」機能は紹介済みです。

「予定実現」をかいつまんで話せば、先んじて仮の「予定」の仕訳を入力する機能です。

メリットとしては、キャッシュフローの予定を立てやすくしたり、将来の予定の試算表をつくることができる、というものでした。

MFクラウド会計で直面するギモンを解決する記事です。今回は、MFクラウド会計を利用した人のほとんどが...

また、MFクラウド請求書と連携した処理についても、前回の記事でまとめました。これも、会計側での消込の方法があまり認識されていないために、初心者に向けて書いたものです。

MFクラウド請求書を使い始めたひとが、必ず知っておきたい基礎知識を2点お伝えします。MFクラウド請求...

じゃあ、もう予定実現の説明は充分なのでは……? という気もします。しかし、実は筆者のなかでも、まだモヤモヤしたものが溜まっていました。

それが今回の記事のテーマである、

「予定実現」の機能は、仕訳においてどんな動作しているのか?

という、いたって素朴かつディープな疑問です。

このため、この記事はMFクラウド会計を深く理解したい実務家を中心に、読んでいただければと考えています。

もちろん、MFクラウド会計の理解度をアップさせたい一般のかたでも、楽しくお読みいただけます。複式簿記の説明がありますので、簿記の知識が必要です。

「予定実現」機能の動作を確認する

「予定実現」の機能をもう一度整理してみましょう。

話の前提として、オンラインバンキングの自動連携で取り込んだ金融機関のデータを処理することとして、また、先の未実現の仕訳がすでに登録されているものとします。

MFクラウド会計の予定実現とのマッチング

このデータについて、「予定実現」の項目から「実現」のチェックボックスを押すことで、次の処理を実行します。

  1. 入金されてきた金額と、「未実現」の仕訳をマッチさせる(手動)
  2. 入金されてきた金額に対して、「勘定科目」が割り当てられる
  3. マッチさせた「未実現」の仕訳は消去される

この動作については、おおむね理解されていることでしょう。

ちなみに、ここで述べている「マッチさせる」という意味は、実際に発生した取引と、未実現の仕訳をマッチさせて消込することを指しています。

このうち、上記で述べた2と3の項目については、公式ヘルプを見ても、具体的な動作について説明されたものがありません。

このため、当ブログにおいて、詳しく実験・調査しました。

予定実現が持っている効果の調査

Q1.未実現の入金予定額が間違っていてもOKか?

まずは最初の疑問です。

未実現の予定仕訳の金額と、実際に入金されてきた金額が違っていた場合は、どうなるのでしょうか?

例えば、未実現の予定仕訳が、

[未実現](普通預金)50,000/(売掛金)50,000

だった場合に、振込手数料が324円差し引かれて、49,676円で振り込まれてきた場合の話です。

この場合、金額が違っている未実現の予定仕訳と、マッチさせることができるのか? という心配がありそうです。

その答えですが、金額が違ってもマッチングは可能です。

この場合、実際に入金されてきた金額(49,676円)が優先されて、仕訳として入力されます。未実現の予定仕訳の数字(50,000円)は無視されます。

もちろんこれは当たり前の話で、もし予定の金額が優先されてしまったら、預金の帳簿残高がズレてしまいます(笑)

Q2.入金時の差額について、仕訳で調整はできるのか?

Q1.の補足です。予定仕訳と、入金時の金額に差額があった場合の処理方法は、どうすればいいのでしょうか?

現状では、差額を調整した状態でマッチングを完結することはできません。予定実現のチェックボックスを選択した場合は、現状では複数行による仕訳を組むことができないためです。

このため、振込の差額の調整は、一度仕訳入力を完了させたのち、画面下の仕訳修正欄において手作業で修正します。

Q3.予定仕訳の存在した意味とは?

Q1.において、マッチングでは「未実現の予定仕訳の数字は無視される」と述べました。

じゃあ、予定仕訳は、いったい何の項目が参照されているのか? という疑問が浮かびます。

その答えは、予定仕訳の「勘定科目」が参照されています。

例えば、入金予定である未実現の予定仕訳が

[未実現](普通預金)50,000/(売掛金)50,000

となっていれば、消込対象である勘定科目(売掛金)を採用し、仕訳として入力しています。

これは、「勘定科目」の欄で、予定をマッチさせていることからも、イメージがつきやすい処理でしょう。

Q4.「入金予定」はどのような条件で表示される?

マッチングの時に「入金予定」と判断しているのは、どのような条件なのでしょうか?

これは、未実現の予定仕訳が

[未実現](普通預金)50,000/(売掛金)50,000

となっているときに、その(普通預金)を参照して表示しています。

もしこの場合、別の予定仕訳として、

[未実現](買掛金)100,000/(普通預金)100,000

という出金予定があっても、これは入金には関係ないため、表示されません。

Q5.買掛金の支払でも、マッチングは可能か?

この予定実現の機能は、MFクラウド請求書の処理のイメージが強いですが、この未実現の消込は、買掛金や未払金の支払いの場合でも使えます。

また、手作業で入力した「未実現」の仕訳でも、もちろん対応可能です。出金の仕訳の場合は、出金予定というマッチの提案が表示されます。

また、損益の項目であっても、予定のマッチングは可能です。

Q6.入金が複数にバラけてきた場合でも、対応できるか?

1回の請求に対して、入金が2回にバラけてきた場合、予定実現のマッチングは可能なのでしょうか?

答えは、現状ではできないようです。公式ヘルプにも記述があります。

参考Q. 「予定実現」について、複数の入金予定を選択することはできますか?

Q7.入金でも出金でもない未実現の仕訳はどうなるか?

当たり前の話ですが、未実現の予定仕訳は、入金・出金に関するものとは限りません。

例えば、次のような予定仕訳を組んでいた場合はどうでしょうか?

[未実現](受取手形)10,000/(売掛金)10,000

売掛金に関して手形を受け取る予定、という処理です。

このような予定仕訳は、予定実現において「振替予定」として表示されます。

入金でも出金でもないのですから、「振替予定」となるのは当然のことでしょう。この振替予定を入金・出金時の仕訳にマッチさせるのは、無理があります。

では、この振替予定を無理やりマッチさせると、どうなるのか……?

その答えは、Q2ですでに述べたのと同じ処理です。

勘定科目が採用されますので、仮に入金時の仕訳であれば、勘定科目(売掛金)だけが採用されて、次の仕訳として処理されます。

(普通預金)10,000/(売掛金)10,000

また、該当する予定仕訳も消去されます。

未実現の予定仕訳とはまったく違った仕訳になってしまうため、「振替予定」の選択には注意が必要です。

この「振替予定」について、もし活用事例をご存知でしたら、ぜひご意見をお寄せください。

Q8.複数行の仕訳(複合仕訳)でも対応できるのか?

あらかじめ複合仕訳(複数行の振替伝票)を予定未実現としていた場合に、入金・出金の処理はできるのでしょうか?

筆者が試したところ、複合仕訳は「実現」の候補に表示されませんでした。よって、1行だけの振替伝票でのみ、マッチングが可能と考えます。【2018年3月7日追加】

まとめ

MFクラウド会計における「未実現」の機能について、疑問を深掘りしました。

このような情報は公式に載っていませんので、自分で調べるしかないようです。動作検証の意味で、マニアックな実験レポートをお届けしました。

なお、これらは当ブログで独自に検証した結果です。もし間違いがありましたら、ぜひお知らせください。

スポンサーリンク