データのバックアップについて、小規模な事業者はどう取り組んだらよいか、ということを考えました。
説明のポイント
- バックアップは必須。データの消失は、事業に計り知れないダメージを与える
- 従業員のPCにデータを保管している場合は、NASを導入
- NASやサーバーのバックアップは、別の場所に保管する必要も検討する
データのバックアップ、どうしていますか?
事業にパソコンを使っていることは、現代のビジネスシーンでは当然となっています。そして、パソコンを使っていれば、仕事のためのデータも保管が必要になります。
では、パソコンに保存しているデータが万が一消失した場合の備えは、どのようにしていますでしょうか?
予測できない事故によって大事なデータが失われた場合、事業に与える損失は計り知れません。
「うちはきちんとバックアップを取っているよ!」という事業者も、まだ安心はできません。
バックアップをとった保管用のメディアを、もし同じオフィスに置いているならば、リスクがあります。もしオフィスが災害に遭った場合には、そのバックアップも同時に失われる可能性があるためです。
パソコンのデータは、「会社全体の脳みそ」といえるほどに大事なものです。万が一が起こった場合でも、事業を継続していくためには、データのバックアップを考えることが重要です。
従業員まかせのバックアップは危ない
よく小規模な事業者でありがちなのは、従業員が使っているパソコンに、データをそのまま保管しているというケースです。
これはハッキリいってしまうと、何も管理していないのと同じです。
なぜなら、データのバックアップは従業員におまかせ状態だからです。「バックアップやっとけよ~」などと伝達をしていても、それが完璧に行われていることは期待しないほうがいいでしょう。
この状況下で、もしパソコンが故障した場合には、大切なデータが失われてしまう恐れもあります。
バックアップにはNASを使おう
小規模な事業者のバックアップはどうしたらよいのでしょうか? まず、対策のイメージとして、データを統一的な場所に集めることを考えましょう。
その一例としては、ネットワークに共有のハードディスク(Network Attached Storage、略称「NAS」)を設置して、そのNASにデータを保管する方法が考えられます。
NASにもいろいろ種類はあります。家庭向けは安価ですが、事業者が利用する場合は、多少高価でも、事業用をおすすめします。
事業用のNASであれば、バックアップを自動的にとってくれる機能があるからです。
NASの具体的な利用法については、ITメディアの記事がわかりやすいのでおすすめです。
参考:SOHO/中小企業に効く「NAS」の選び方(第1回):今さら聞けない「NAS」のメリットとデメリット (1/2) – ITmedia PC USER
NASだけではバックアップ対応として不足
NASを使えば、ネットワークを経由して簡単にバックアップができます。しかし、これだけでは万全の対策ではありません。
もし、そのオフィスが災害にあった場合には、そのNASも一緒に故障してしまう恐れがあるからです。
さらに、NASはネットワーク上に接続されているため、ネットワークにウイルスが蔓延した場合は、NAS自体も危険にさらされる可能性があります。
ワンランク上のバックアップ方法
ワンランク上のデータのバックアップとしては、次の方法が考えられます。
- 単体バックアップ
- クラウドバックアップ
- 遠隔サーバレプリケーション
それぞれの詳細を見ていきましょう。
1.単体バックアップ
簡単にできそうなのは、単体バックアップです。
単体バックアップの方法では、サーバーのデータを定期的にバックアップして、そのバックアップしたメディア(ハードディスクやデータ用のテープ)を、社内の耐火金庫や遠隔地で保管します。
つまり、バックアップを切り離して、安全な別の場所で保管するということです。
この方法は、初期コストやランニングコストが安いのがメリットです。
しかし、メディアの運搬中に盗難・紛失の恐れがあるほか、常時バックアップではないため、サーバーが故障した際には一定期間のデータが失われます。また、バックアップからの復旧に時間がかかるのがネックです。
2.クラウドバックアップ
クラウドを活用した「クラウドバックアップ」も考えられます。サーバーのデータをクラウドにあるバックアップシステムに転送し、自動的にバックアップする方法です。
有名なのは、DropBoxに代表されるオンラインストレージですが、これは個人向けの色合いが強い印象もあります。
事業用のサービスの利用例では、MicrosoftAzureを利用した例が、わかりやすいです。
バックアップはオンラインを通じてクラウド内で保管されるため、単体バックアップのデメリットであった「盗難・紛失リスク」や「常時バックアップではない」という点がカバーできます。
ただし、サーバー故障時でも、すぐに別のサーバーに切り替えるという形式ではないため、復旧には時間がかかります。
3.遠隔サーバレプリケーション
「遠隔サーバレプリケーション」というバックアップサービスもあります。
これは、現在稼働しているサーバーと同じものが、遠隔地にあるサーバーにスタンバイされており、常にデータがコピーされるというサービスです。
万が一の場合には、その遠隔地のサーバーに切り替えることですぐに仕事を継続できます。これだけ備えられればいうこと無しですが、コストもその分かかります。
小規模な事業者で対応できるのかは、コスト的にむずかしい面もあるでしょう。
まとめ
小規模な事業者に向けた、バックアップを考えてみました。
まとめとして、事業所で統一したバックアップを作っていない場合は、まず最初にネットワーク上にデータを保管する「NAS」を導入するといいでしょう。
そのうえで、データのバックアップを別の場所に置いておくことも検討します。小規模事業者の場合には、単体バックアップやクラウドバックアップから取り組むことがよいでしょう。
これらのようなITに苦手意識を持っている場合は、専門業者に相談したほうがよいかもしれません。コストはかかっても、重要なデータを守るために、何をすべきかを考えることも必要です。
この記事を書くにあたっては、下記の記事を参考にしました。
参考:中堅中小企業に贈るバックアップガイド【基礎編】(ITメディア)