記帳アプリ「Taxnote」について採り上げます。現金払いの少ないフリーランスの記帳なら、このアプリとクラウド会計の組み合わせが抜群です。
説明のポイント
- 1件5秒、高速入力できる記帳アプリ
- クラウド会計との組み合わせが相性抜群
- フリーランスにおすすめ
Taxnoteとは?
記帳用のアプリ「Taxnote」を紹介します。
Taxnoteは、日々の記帳業務をiPhoneから速く入力できることを目指して製作されたアプリで、フリーランスや個人事業主向けを想定して提供されています。
このアプリはiPad/iPhone専用です(2016年6月執筆時)。
2017年2月に、Android版もリリースされました。(参考:「弥生会計・freee・MFクラウド対応、確定申告を楽にするTaxnoteのAndroid版をリリース」、2017年2月)
このアプリの優れている点
筆者が触って、「このアプリ、いいな!」と思ったところは次のとおりです。
- 複式簿記を理解していなくても、誰でも感覚的に記帳できる。
- 難しい設定項目がない、シンプルなつくり。
- クラウド会計用のデータ出力がすぐにできる。
この「誰でも記帳ができる」というのは、重要なポイントです。
なぜなら、忙しくて領収書がたまってしまったとしても、お手伝いさんに領収書の入力をお願いすることができるからです。
そのお手伝いさんは簿記を知らなくても、この簡単なアプリで入力ができます。あとは、そのデータを引き継いで仕上げをすれば記帳は終了です。
簡単なアプリの活用で、単純作業のアウトソーシングが可能になります。
データの入力方法
現金払いの領収書を記帳した流れを、具体的に紹介します。
一例として、「今日、ボールペンを現金108円で買ってきた」場合の記帳を、アプリでやってみましょう。
1.勘定科目を選択
日付は最初から「今日」になっているので、変更不要です。勘定科目で「消耗品費」を選びます。
2.備考を選択
デフォルトで設定されている備考「事務用品」を選択します。
3.金額を入力
金額は、電卓風で入力できます。「108」と入力して、「仕訳帳に記録」のボタンを押します。
4.入力完了!
入力完了の表示がでました。これで1件登録できました。
入力の流れを整理すると、
- (今日の日付)
- 消耗品費/事業主借
- 事務用品
- 108円
という流れでした。ここまでの入力時間はわずか5秒です。難しい会計の用語は一切出てきません。
入力の終わった領収書は、ノートやルーズリーフに貼り付けるか、月ごとに封筒に分けて保管しましょう。
なお、アプリは無料で提供されていますが、月15件の入力制限があります。
多数の領収書を入力する場合は、有料版を購入しましょう。有料版(Taxnote plus)は3,600円です。
支払い方法の設定は「事業主借」に変更することをおすすめします。アプリの初期設定における「支払い方法」は「現金」になっていますが、ほとんどのフリーランスは現金の出納管理を行っていないでしょう。出納管理とは、手提げ金庫を用意して、そこから現金を払い出し管理しているイメージです。現金の出納管理が不要なフリーランスは「現金」を無理に使う必要はありません。
データの出力方法は?
会計ソフト用の仕訳データも出力できます。形式はcsv出力で、弥生会計、freee、MFクラウド会計に対応しています。
csv出力時には、インポートのやり方が記載された手順書も同時に出力されます。難しさはとくに感じないでしょう。
シンプルさが持つ優位性
当サイトでは以前に、クラウド会計と連携する有料サービスを使う方法を紹介しました。先日の記事では、領収書を撮影して自動的にデータ化するサービスを採り上げています。
https://kurihara-office.com/160621drkeihi
このような機能は、経費精算のある会社には向いていますが、個人で活動するフリーランスには少々過剰でしょう。
領収書の枚数が少ないならば、Taxnoteのようなシンプルなアプリを活用して、手入力したほうが早いとも考えられます。自分の環境に合わせたサービスを選択しましょう。
要注意な点
そんな便利なTaxnoteですが、念のため注意点にも触れておきます。
消費税の納税義務がある事業主の場合、帳簿の記載要件が厳しめになるので、Taxnoteでは記載事項が不足する懸念があります。
なぜなら、Taxnoteの入力では「支払いの相手方」が登録できないためです。これは、アプリが簡便性を優先しているためでしょう。
消費税法では、帳簿の記載要件として「取引の相手方の名称」の記載が求められています。しかし、アプリはそこまでフォローできない、というわけです。
これをカバーするためには、アプリから出力した仕訳帳データに相手方の名称を追加記載するなどの工夫が必要でしょう。
納税義務があるのは、前々年の売上高が1,000万円を超えている場合などです。下記の記事も参照してください。
まとめ
シンプルかつスピーディーな記帳ができるアプリ「Taxnote」を紹介しました。
とくに、freeeやMFクラウド確定申告(個人向け)を使用するフリーランスの方に、おすすめできるアプリです。
クラウド会計が持つ通帳の自動読込を利用すれば、ある程度の自動記帳は可能になっています。
日々の取引はなるべく銀行やクレジットカード決済にまとめて、自動記帳のできない現金受け取り・現金払いは、このアプリで補助的に記帳するのがよいでしょう。