電子署名した源泉徴収票データ(XML形式)の作成方法を説明します。事業者向けの情報です。
説明のポイント
- 電子署名した源泉徴収票データ(XML形式)の作成方法を説明している
- 電子証明書が必要
書面ではない源泉徴収票という選択肢
確定申告をするための源泉徴収票は、会社が発行した書面というのが原則です。
電子交付されたPDFなどの源泉徴収票を従業員が自分で印刷しても、確定申告には使えないという問題を前回の投稿で説明しました。
参考:自分でPDFの源泉徴収票を印刷しても、確定申告に使えない? 電子交付にひそむ罠(当サイト、2016年11月7日)
しかし、唯一の例外があります。それは「電子署名された源泉徴収票のデータ」です。この源泉徴収票データを利用すれば、書面の源泉徴収票は不要で確定申告できます。
……ここまでの話は、ほかのブログでも読むことができます。じゃあ、その「電子署名された源泉徴収票のデータ」って何なのよ? という話を説明しているものは、探した限り見つかりませんでした。
そこで研究を兼ねて、当ブログが電子署名のある源泉徴収票の説明にチャレンジしました。結論としては、残念ながら実務には役立ちそうにありませんでした。
できるかな? 電子署名した源泉徴収票の作り方
電子署名をした源泉徴収票データ(XML形式)の作成方法を説明します。まずは、下記のサイトにアクセスします。
参照:源泉徴収票等作成ソフトダウンロードコーナー(国税庁e-taxサイト)
▲「源泉徴収票等作成ソフトダウンロードコーナー」の画面。電子署名した源泉徴収票を作成するソフトがダウンロードできます。
▲ソフトの利用時には、あらかじめ「利用者識別番号」と「電子証明書」が必要です。
▲利用環境を確認したあと、画面下の「手順②」を選択します。
▲手順②から「源泉徴収票等作成ソフト」をダウンロードしてインストールします。
▲インストールしたあと、「手順④」を確認し、ブラウザのセキュリティ設定を必ず確認します。指定のとおりにしないと動作しない場合があります。
▲ソフトを起動後、「給与所得の源泉徴収票」の作成を選択した画面です。従業員の源泉徴収票のデータに沿って、数字を入力します。
▲電子証明書の種類を選び、データ保存を選択すると、XML形式の源泉徴収票データが出力されます。
▲パソコンにXMLデータが保存されました。これを従業員に交付します。
まとめ
電子署名つきの源泉徴収票データの作り方を説明しました。
しかし、制度として存在するものの、まったく利用されていなそうです。このしくみが利用されていないのは、
- 電子署名できる電子証明書を、会社が保有していないことも多い
- 給与計算ソフト・電子交付用ソフトが、電子署名した源泉徴収票の交付に対応していない(このため、手入力で作成ソフトに入力する必要がある)
- 紙で確定申告書を提出する従業員に対応できない
という理由があるでしょう。こんなに障害があれば、利用されないのも当然の話です。
こんなことにこだわる税理士はあまりいないと思いますが、会社のための実務研究のひとつとしてご紹介しました。
後日、この源泉徴収票データを使った確定申告の方法も説明します。