個人事業主から「法人成り」したあとに、クラウド会計の個人アカウントですべき点について、整理します。
説明のポイント
- MFクラウド確定申告、会計freeeともに、無料プランへの移行ができる
- 無料プランでは、帳簿の出力ができない。移行前の出力が必須
法人成りした場合、クラウド会計の個人アカウントはどうする?
個人事業が軌道に乗り、法人へと事業形態を切り替える方もいるでしょう。
そのメリット・デメリットについてはここでは触れませんが、個人事業から法人に切り替えることを、一般的に「法人成り」(ほうじんなり)といいます。
これまでは個人事業主として帳簿をつけていたわけですが、今後は法人に移行しますので、個人の帳簿づけは不要になります。
この場合、クラウド会計ではどのように対応したらよいか、個人からのアカウントの切り替えと、その過程でやるべきことを確認します。
「MFクラウド確定申告」の場合
MFクラウド確定申告は、フリープラン(無料)に切り替えることで、コストが発生することなくアカウントの維持が可能です。このため、特別な事情がないかぎりは、アカウントを削除する必要はありません。
なお、無料プランになると、次の機能制限が生じます。
- 入力件数の上限が月間15件になる
- チャットサポート・電話サポートが受けられない
- データのエクスポートができない
- サーバーで三重(トリプル)のバックアップが適用されない
参考:MFクラウド確定申告の料金・プラン(MFクラウド)
無料プランに切り替わったからといって、帳簿のデータが削除されることはありません。
私がMFクラウドに確認したところでは、現在のところ、MFクラウド内における帳簿の保存期間に制限はありません。しかし、このまま永久にデータが残されるとは考えづらく、今後も利用者が増えるに従って、なんらかの措置が加えられることもありえる話でしょう。
さらに重要なのは、帳簿のデータが出力(エクスポート)できなくなることです。無料プランに切り替える前には、次のデータを出力しましょう。
- 総勘定元帳(PDF)
- 仕訳帳(PDF、CSV)
- 固定資産台帳(PDF、CSV)
- 勘定科目(CSV) ※任意
- 仕訳自動ルール、仕訳辞書 ※任意
総勘定元帳と仕訳帳の出力方法については、以前の投稿で説明しています。
なお、法人のアカウントは、個人とは別のものとされています。このため、新しく法人としての「事業所」を作成する必要があります。
参考:Q.個人事業主から法人に移行しました。MFクラウド確定申告からMFクラウド会計への移行方法を教えてください。(MFクラウド)
「会計freee」の場合
「会計freee」も、無料プランに切り替えることで、個人の帳簿をそのまま維持することが可能です。
まず、法人としての「事業所」を作成します。個人の帳簿の画面から、事業所の追加で作成できます。
次に、個人事業主の際に設定した、取引先・品目・部門・メモタグについても出力を行い、法人へ移行しましょう。
参考:取引先・品目・部門のインポート・エクスポート(freeeヘルプセンター)
また、電子帳簿保存法におけるスキャナ保存を利用していた場合は、これまでにスキャンしたデータをすべて紙に出力する必要があります。無料プランになると、これらも閲覧できなくなります。
参考:電子帳簿保存機能の利用を停止する(freeeヘルプセンター)
最後に、個人の「事業所」を無料プランに切り替えるため、「お支払い停止手続き」が必要です。freeeから電話確認の対応を受けると、切り替えができます。
参考:料金の支払いを停止する方法を教えてください(freeeヘルプセンター)
なお、無料プランになった場合は、次の機能制限が生じます。
- データの閲覧が直近1ヶ月に限られる
- メンバーの招待ができない(アドバイザーのみ招待可能)
- チャットサポート・電話サポートが受けられない(メールサポートは可能)
- データのエクスポートができない
参考:【個人】会計freeeのプランについて(freeeヘルプセンター)
無料プランへの変更によって、これまで入力してきた過去の帳簿データがどうなるのかは、明示されていません。「有料プランに切り替えないと、過去の帳簿が表示できない」という旨が、無料プラン利用時に表示されます。
いずれにしろ、無料プランになると1ヶ月以上前のデータは閲覧できなくなりますので、切り替える前にデータの出力が必要です。
出力の方法については、以前の投稿で説明しています。
まとめ
「MFクラウド確定申告」と、「会計freee」について、法人成りしたあとの個人アカウントの管理について、対応をまとめました。
これまでの帳簿のデータを出力し、無料プランに切り替えればよいでしょう。