「D-FAX」というインターネットFAXのサービスを利用して、最も安くFAX番号を保有する方法をお伝えします。
説明のポイント
- 月額0円で、受信専用のFAX番号を保有できる
- インターネットFAXのため、受信内容がメールに転送される
- ポケベル回線の「020番号」を利用するため、送信者側にコストがかかる
究極に安くFAX番号を所有できないか?
当ブログでは以前、フレッツ光の「ひかり電話」のオプションサービスを使って、ペーパーレス仕様のFAX専用番号を月額200円で利用する方法をお伝えしました。
しかし、めったに使わないFAX番号に、年間で2,400円も払うのは、ちょっと微妙……というコストに厳しい人もいるでしょう。そんな方に、もっと格安でFAX専用番号を取得・維持する方法をご紹介します。
D-FAXと運営会社の紹介
ご紹介するのは、「D-FAX」というインターネットサービスです。失礼ながら、知名度はあまり高くないと思われますが、そのサービスが始まったのは2000年からとされています(wikipedia)。
D-FAXは、インターネットFAXサービスのひとつであり、受信専用のFAX番号を利用します。このため、FAXの送信は一切できません。
なお、ネットで検索すると、他のネットFAXである「eFAX」がやたらヒットしますが、そっちではありません。「D-FAX」です。
運営会社は東京テレメッセージ
このD-FAXを運営するのは、東京テレメッセージ株式会社という会社です。
社名を聞いただけでも、40代以上の方には懐かしさ爆発の予感です。懐かしい方は、鈴木杏樹さんのCMを探しましょう。ピチカート・ファイブの曲にもしびれます。
Wikipediaによれば、旧「東京テレメッセージ」は1999年に経営破綻。その後、ジャスダック上場企業のYOZAN(鷹山)がポケットベル事業を引き継いだものの、そのYOZANものちに経営破綻。YOZANからポケベル事業が切り離されて、いまは新しい会社の「東京テレメッセージ」として運営されています。
ちなみに、いまはポケベルではなく、「マジックメール」というサービス名称になっています。
D-FAXはポケベル用の020番号を利用したサービス
で、なんでポケベルの話をしているのかといえば、このD-FAXは、ポケベル用の回線を利用してFAX受信サービスを運営しているからです。
下の図のとおり、送信者側からFAXが送信されると、サーバーを介して、受信者のメール宛にFAXが届きます。
なお、D-FAXから利用者に交付されるFAX番号は、「020-4xxx-xxxx」という、あまり聞いたことのないポケベル回線の電話番号です。
恥ずかしながら、筆者はこのサービスで初めて020番号の存在を知りました。
020のFAX番号を伝えれば、相手の度肝を抜くことは確実です。とはいえ、FAXをめったに使わない人にとっては、番号が何であろうと、関係のない話でしょう。
D-FAXのメリット・デメリット
D-FAXのメリットは次のとおりです。
- 月額利用料は無料
- ユニバーサルサービス料(通常1回線ごとに2円~3円)も無料
- 受信したFAXデータが指定の電子メールに転送されるので、ペーパーレスで受信できる
- FAX受信用の機器や、回線工事は不要
以上のように、月額利用料は無料です。めったにFAXを使わない人にとっては、コストを安く済ませられるメリットがあります。
これに比べて、他のインターネットFAXのサービスは、多数のFAXの送受信を想定しているため、月額料金がかかるものがほとんどです。
料金はいくらかかるのか?
格安でFAX番号を維持できるD-FAXですが、利用にあたっては完全無料というわけではありません。
- 利用開始時の1回だけ5,000円(税抜)がかかる
- 3ヶ月間利用していない場合は、回線が利用停止になる。これを防ぐためにはオプション料金が年間1,000円(税抜)かかる
- FAXを送信する側が、送信料金を負担する
月額料金がかからない代わりに、イニシャルコストとして5,000円かかるのはやむを得ないでしょう。(※この記事の初出時2017年では2,500円でしたが、その後引き上げられました)
また、FAXはほとんど利用しないが、念のために番号を持っておきたい場合は、「未利用解約防止機能」という年間1,000円のオプションが必要です。これは、3ヶ月間FAXを一切利用しないと、FAX番号の利用が停止されるため、それを防ぐための措置です。
気になるのは、ポケベル回線を利用した特殊性のため、FAX送信に対する特殊な料金が発生する点です。その料金は「送信者」が負担します。送信料金は次のとおりです。
- 1回あたり40円
- これに加えて、呼び出し料金として30秒毎に10円(1都3県は40秒毎に10円)
つまり、50円~60円の送信料金を、送信側に負担してもらう必要があります。
利用上の注意点
料金面以外にも、利用上の注意点があります。
- 受信専用サービス
- ネットFAXやコンビニFAXから送信されても、受信できない
- 受信するデータはTIFF形式
- 020番号なので知名度が低い
記事の冒頭でも述べましたが、このサービスはFAX受信専用です。送信はできません。
また、ポケベル回線(020番号)の特殊性と思われますが、他のインターネットFAXや、コンビニからのFAXは、受信できません。ここが最大の難点でしょう。
FAXを受信したときに送られてくるデータは、TIFFという、FAX専用形式のデータです。Windowsであれば、TIFFは標準ソフトで閲覧できます。このほか、D-FAXの有料オプションで、PDFに変換してもらうこともできます。
なお、020番号は知名度が低いと思われるため、送信間違いが発生しないよう、相手に念を押す必要があると考えます。
D-FAXを利用するには
D-FAXの申込みは、次のサイトから可能です。
サイト:D-FAX
利用登録すると、すぐに利用できるFAX番号が付与されます。登録後から1週間は、その番号を無料で試用できます。
試用して便利だと感じたら、クレジットカード決済などで本登録が可能です。本登録が済んで、2週間ほどたつと、下の画像のようなポケベルが送られてきます。ポケベルなので、つまようじサイズです。
このポケベルを使えば、FAXが届いたことを通知してくれます。
しかし、スマートフォンでメールをチェックできる今では、利用価値はほとんどないでしょう。このポケベルが利用できるのは、1都3県の首都圏に限られます。(引用:D-FAX着信通知)
使用感はどうか
実際に取得した020番号あてに、自分でFAXを送信してみましたが、問題なく届きました。(送信元はJCOMのIP電話)
これとは別に、あるインターネットFAXサービスからも送信してみましたが、受信できませんでした。ネットFAXは受信の対象外とされていますので、当然の結果でしょう。
受信したTIFFデータについて、スマートフォン(iOS)のGmailアプリで確認してみました。TIFFデータの画像は表示できるのですが、縦横の伸縮が変な感じでした。これは、Gmailアプリ側の問題のように思われます。
テストケースとして、自治体の会報(A4)を1ページ送信してみました。文字の縦横比率が微妙におかしいことがわかります。
この対策として、GoogleDriveにTIFFファイルを保存すれば、きちんとした表示で見られました。
Windows10のブラウザからGmailで確認した場合でも、TIFFデータは問題なく表示できました。
ネット上に見られるD-FAXへの批判について
「ネットFAX比較サイト」と称するいくつかのページを見ていると、D-FAXに対しては批判的な論調が目につきました。
しかし、それらをよく見てみると、最終的に別のインターネットFAXに誘導するためのアフィリエイト記事が多いようでした。
まとめ
自分のコスト負担が最小限で抑えられる、受信専用のインターネットFAXサービス「D-FAX」をご紹介しました。
筆者の場合だと、基本的に文章はPDFで電子メールに添付してもらいます。しかし、相手の都合でどうしてもメールを利用できない場合に限り、FAX番号をお伝えしています。
筆者のように、FAXはめったに利用しないが、万が一の場合に備えて低コストでFAX番号を保有したい……という方には、おすすめできるサービスといえるでしょう。
なお、月額基本料が無料のFAX送信専用サービスと組み合わせれば、送受信ともに月額基本料0円が実現できるでしょう。下記の記事もご参考にどうぞ。