電子取引と書類作成データの境目 インボイスQ&Aのほうが詳しい?

以前の記事で、電子取引と自己が一貫してコンピュータで作成した書類との境目がわかる説明内容が、電子帳簿保存法の一問一答の改訂で削除されてしまった点をお伝えしました。

この話ですが、似たような解説が国税庁のインボイス制度Q&Aのほうにあることに気づきましたので、ご紹介しておきます。

説明のポイント

  • 電子取引と自己が一貫してコンピュータで作成した書類は、どう違うのか。その具体例
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電子取引と書類プリント控えの元データ保存の境目

パソコン内部で作った請求書があるとして、これをインターネット経由で送れば電子取引に該当します。

一方、この電子データを書面に印刷して郵送した場合でも、要件を満たせば元の電子データのまま保存できます。これは「自己が一貫してコンピュータで作成」した場合に該当するためです。

令和3年度改正により税務署への申請が不要となったことで、これまで自社控えとして請求書などをプリントしていたのであれば、この保存方法を見直すことも可能ではないか、という提言を以前のブログでしていました。

令和3年度税制改正により、電子帳簿保存法の抜本改正が行われます。これにあたり、国税庁から提供されてい...

冒頭でも書いたとおり、過去の一問一答では、電子取引と自己が一貫してコンピュータで作成した場合の違いを説明した内容があったものの、改正の影響によりカットされてしまいました。

令和3年度税制改正により、電子帳簿保存法の抜本改正が行われます。これにあたり、国税庁から提供されてい...

インボイス制度のQ&Aに似たような説明があった

ところで、先日インボイス制度について調べる機会があって国税庁のインボイスQ&Aを再読していたのですが、令和3年7月の改訂により、Q&Aの内容が追加されていました。

この追加された内容には、電子インボイスに関するものもあったようです。そして、前述の「パソコンで作った請求書。ネット経由で送ったか、郵送したか?」の違いについて、インボイスQ&Aのほうで間接的に説明されていることに気づきました。

これは、Q&Aの問63問64との対比でわかります。

(適格請求書の写しの電磁的記録による保存)

問63 当社は、自己の業務システムで作成した適格請求書を出力し、書面で交付しています。適格請求書発行事業者は、交付した適格請求書の写しを保存しなければなりませんが、書面で交付した適格請求書の写しとして、当該システムで作成したデータを保存することも認められますか。【令和3年7月改訂】

(適格請求書に係る電磁的記録を提供した場合の保存方法)

問 64 当社は、適格請求書の交付に代えて、適格請求書に係る電磁的記録を提供しています。提供した電磁的記録については、保存しなければならないとのことですが、どのような方法で保存すればよいですか。【令和3年7月改訂】

問63の一問一答では、「自己が一貫して電子計算機を使用して作成したものについては、電帳法に基づき、電磁的記録による保存をもって書類の保存に代えることができることとされています」と説明があります。

一方、問64の場合は、書面出力による保存か、または電磁的記録として保存する場合は、電子帳簿保存法の電子取引に準ずる方法での保存が説明されています。

この記事で注目しているのは、「自己が一貫して電子計算機を使用して作成」と「電子取引」はどう違うのか、という点です。

電子帳簿保存法の一問一答ではこのような説明がないのですが、インボイスQ&Aの問63と問64を対比させてみると、参考になりそうです。

連続した問番号で類似の内容が説明されているのは、発行控えの電磁的記録を保存する場合でも、その違いを説明するためのようにも思われます。

まとめ

電子取引と自己が一貫してコンピュータで作成した書類との違いについて、国税庁作成の資料から読み取っています。

以前は、電子帳簿保存法一問一答で見られたのですが、令和3年度改正の影響で改訂により削除されてしまいました。

その一方で、令和3年7月の同時期に改訂されたインボイス制度のQ&Aでは、具体例が追加されていました。電子帳簿保存法でも参考になるかと思い、補足としてご紹介しました。

なお、要件の比較表も作成したのですが、記事のタイトルと趣旨が少し異なるため、記事を改めることにします。

前回の記事の続きです。電子取引と、自己が一貫してコンピュータで作成した場合の書類(電子書類)について...

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