先日国税庁から発表された「令和2年分からの年末調整の簡便化について」という資料のなかに、すこし気になる内容がありました。
それは、令和4年以降のマイナポータル連携で取得できる資料に「源泉徴収票」が含まれている点です。この点を紹介します。
説明のポイント
- マイナポータル連携において「源泉徴収票」の連携が予定されているが、給与所得の源泉徴収票であるかは不明
「令和2年分からの年末調整の簡便化について」
2020年9月、国税庁ホームページで公表された「令和2年分からの年末調整の簡便化について」という資料があります。
資料のPDFを見ていくと、5ページ目に、微妙に気になる記載がありました。マイナポータル連携で取得できる資料に「源泉徴収票」と書かれている部分です。
これは「令和4年分以降対応予定」とされています。
公的年金の源泉徴収票かもしれない?
この「源泉徴収票」が、公的年金の源泉徴収票を指すのであれば、これは過去の情報で記載されていましたので、驚きはありません。(下の画像の右列「日本年金機構」を参照)
しかし、これが「給与所得の源泉徴収票」ということであれば、いままでに見られない情報という理解になります。
源泉徴収票を確定申告にどのように自動連携させるかの謎
会社が税務署(e-Tax)に提出している給与の源泉徴収票は、給与所得者の一部(年収500万円以上の従業員)を対象としているため、これをもってマイナポータルに連携するとなれば、一部の給与所得者だけが対象となります。
給与所得者の全員で給与情報のマイナポータルへの連携を実現するのであれば、eLTAX側に送信された地方税側の「給与支払報告書」の情報を変換し、「給与所得の源泉徴収票」として連携させる……ということになるのでしょうか。
確定申告では源泉徴収票の添付は不要とされましたが、給与所得を記入する上で、源泉徴収票そのものは相変わらず必要です。(年収などは源泉徴収票に書いてあるため)
この給与の情報をどのように確定申告書に自動連携させるのかは、いまいちよくわからない部分があります。
「源泉徴収票の電子交付を促進する」という方針は、以前の政府税制調査会の資料で書かれていました。
会社において源泉徴収票の電子交付が促進されたとしても、その源泉徴収票がXMLデータで配布されていない限りは、その源泉徴収票を税務ソフトにインポートすることはできません。
また、「確定申告書等作成コーナー」などの税務ソフト側でも、XMLデータをインポートする機能の実装が必要といえます。
源泉徴収票は「転記用」にすぎない
従来の実務から転換があった点で強調しておきたいのですが、源泉徴収票の添付が不要とされた以上は、あとは確定申告書の給与所得などに情報が自動で転記されれば、それですむ話なわけです。
「確定申告には源泉徴収票が必要」という慣習が脳にこびりついて離れないのですが、誤解を恐れずに言えば、源泉徴収票とは確定申告書に数字を転記するための用紙にすぎません。
税法上、給与支給者(会社)は交付義務があるにしても、受給者側では確定申告書への添付義務・保存義務が失われたことで、その重要性は過去に比較して大きく失われているといえます。
まとめ
マイナポータル連携は、マイナンバーカードが普及するに従って、実務においても影響が生じてくることが予想されます。
連携作業は、申告者個人が実施することから、代理業務が中心となる税理士としてはどうにも関心が薄い部分であるといえます。よって、当ブログで情報を把握するように努めています。
給与の源泉徴収票が連携するのであれば、実務への影響も大きいといえます。既存の資料では理解しきれない部分があるため、気になっている点の整理として記事にしました。
なお、明日の10月7日には、政府の税制調査会(第1回納税環境整備に関する専門家会合)が開かれる予定とされており、そこでは新しい情報が見られる可能性もあります。
マイナポータル連携については、過去に当ブログで書いた記事もあわせてご参照ください。