差し迫った確定申告書の提出期限。納税資金を手当てできない場合の対処方法を確認します。
説明のポイント
- 振替納税で、4月20日に先のばし(消費税は4月25日)
- 延納の届出で、5月31日に先のばし(消費税は延納なし)
確定申告書の提出期限と納付期限
所得税の確定申告書は、3月15日までに提出します。また、個人事業主の消費税申告書は、3月31日が提出期限です。
所得税と消費税の納税の期限は、申告書の提出期限と同じです。よって、所得税は3月15日、消費税は3月31日までに納付します。これが通常のルールです。
納税資金を用意できない場合
ギリギリカツカツの経営で、確定申告書の提出時に納税資金を用意できない場合もありえます。この場合でも、次の対応は絶対にやめましょう。
- 数字を操作して”チャレンジ”してみる
- 確定申告書を出さないで様子を見る
数字を操作するのは論外です。そのツケはいずれあとで回ってきます。また、確定申告書を出さないと、次のペナルティがあります。
- 青色申告特別控除(65万円)の適用が受けられない(10万円控除になります。青色が取り消しされる場合もありえます)
- 延滞税が発生する
- 「無申告加算税」として5%上乗せ。税務調査まで放置すると割合が激増(参考)
このため、申告書を出さないことは、あとでもっと大きな災厄を呼び込むことになります。目をそらさずに申告書を提出して、苦しくても納税に取り組むのが正しい姿勢です。
一時的にお金が足りないことは、別に恥ずかしいことではありません。
いい打開策はないのか?
納税を減らすことはできませんが、支払いを先のばしにすることはできます。一番手軽な方法は、「振替納税」を利用することです。
手続きは、申告書の提出期限までに、税務署あてに口座振替の依頼書を提出します。これだけでOKです。
なお、もし引っ越しをして管轄の税務署が変わった場合は、改めて依頼書を提出する必要がありますので要注意です。なお、この振替納税は、所得税と消費税の両方で利用できます。
参考:[手続名]申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税(個人事業者)の振替納税手続(国税庁)
振替納税の引き落とし日は、4月20日(平成29年の場合)です。納税資金は、その前日である4月19日までに銀行口座に入れておきましょう。
もし4月19日に残高不足になっていて、当日20日の朝一番に入金しても、引き落としに間に合わない可能性が高いです。
また、平成29年からは、国税のクレジットカード払いも可能になりました。カード払いの手数料はかかりますが、カード会社からの口座引き落としまで、納税分の支払いを先送りすることができます。
ただし、クレジットカードの引き落としができないと、遅延の利息も高いです。カツカツの状況下ではオススメできません。
当サイト参考記事
2ヶ月半、先のばしにできる「延納」
所得税の確定申告では、「延納(えんのう)の届出」という方法があります。あまりなじみのない、聞き慣れない方法かもしれません。
確定申告書に「延納の届出」という欄があります。以下の画像を確認してください。
引用元:「平成28年分 所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き 確定申告書B用」(国税庁)
この「延納の届出」の欄に数字を記入することで、納税の一部分を先のばしにできます。この延納に担保は必要ありません。
先のばしにできる金額の上限は、3月15日に納税する金額の半分です。その半分の税額を、5月31日までに納付します。
また、この延納は振替納税といっしょに使えます。まず半額を4月20日に振替納税で納付し、残りの半額は5月31日に自動的に振替納税されます。
参考:税金の延納について(国税庁 確定申告書等作成コーナーよくある質問)
利子税がかかります
この延納の届出には「利子税」がかかります。3月16日から5月31日までの延納期間(77日間)について、利率は年1.7%(平成29年の場合)です。
この利子税は、税金の支払いが遅延したことによる「延滞税」よりも、利率が若干低く設定されています(参考)。
もし延納の届出をしなければ、納付を遅延していると、原則どおり「延滞税」がかかってしまうことになります。きちんと届出をすれば、短期間といえども「利子税」になりますので、延納の申請をするのが望ましいです。
延納した税額の納付
振替納税を設定している場合、延納した税額は5月31日に自動的に引き落としされます。
振替納税を利用していない場合は、申告書の控えを持参して税務署で直接納付するか、納付書を発行してもらいましょう。
まとめ
所得税の確定申告において使える、延納の申請を紹介しました。
振替納税や「延納の届出」を活用することで、納税を先延ばしにできます。
もしこの期間でも納税資金が準備できそうにない場合は、税務署に相談に行くことも必要です。分割で納税することや、「納税の猶予」「換価の猶予」などの申請ができないかを相談してみましょう。
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