国税庁の統計から、法人の「今」を考える記事です。令和4年度の法人税の申告数において、資本金100万円以下の法人数の割合は全体の20.5%を占め、ついに20%の大台にのりました。
これはつまり「申告法人の5社に1社は資本金100万円以下」ということを意味します。
過去のおさらい
当ブログでは、国税庁の統計のうち、資本金が少ない法人の申告が激増していることに注目していました。
過去の記事はこちらです。
以前の記事で、令和4年度の申告数は、申告法人のうち資本金100万円以下の割合が20%台に到達するのでは、と予測していましたが、そのとおりになりました。
令和4年度の統計より
出典:国税庁 統計情報より筆者が抜粋
図表を見るとわかるとおり、平成25年度には10%もなかった「資本金100万円以下」の申告法人が、令和4年度には20.5%になっています。
これは、法人という存在の変化を示しているものといえそうです。なぜこのような状況になっているのか、分析が必要のようにも思われます。国税庁や中小企業庁はどのように考えているのでしょうか。
申告を引き受ける現場の税理士どうしでは、状況がどうなっているのかを相互に確認し合う機会もなかなか少ないのですが、他の方はどう感じておられるのか、興味深いところではあります。
増加数は頭打ちに?
資本金は会社の状況を示す数値の一つであって、その中身が実際にどうなのかは、資本金だけでうかがうことはできません。
しかし、それなりの規模の法人が減資して資本金100万円以下にする、という状況はあまり考えづらいので、新規設立の法人が増加しているものと推測されます。
令和4年度の統計で気づいたこととしては、これまで一貫して増加傾向にあった資本金100万円以下の法人の増加数が頭打ちになったことです。
令和2年度→令和3年度の増加数は、47,675社でした。これが、令和3年度→令和4年度の増加数は47,380社でしたので、増加規模の拡大が止まったことになります。
統計の方法が同一で比較できる平成23年度以降の増加数を見ると、資本金100万円以下の法人は一貫して増加数が拡大してきました。
その傾向が令和4年度で頭打ちになったようにも見えますが、これが一時的なものかは、来年度の状況も見て考えてみることにします。
まとめ
国税庁の統計をもとに、法人の「今」を考える記事でした。
申告法人の統計によると、資本金100万円以下の法人の割合は20.5%で、20%の大台にのりました。現状、法人税を申告する法人の5社に1社は、資本金100万円以下という状況です。
詳細は不明ですが、おそらくは小規模な起業が増加しているものと思われます。
これに関連して、株式会社や合同会社の内訳がどうなっているのか気になる方もいると思いますので、この場合は国税庁「会社標本調査結果」もご参照ください。