ブログを書き続けて、10年目になりました。感慨深いものがありますが、考えてみたことを記しておきます。
3~5年前に書いたこと
実は、3~5年前に書いた同じような記事がありまして、それを読み返してみたのですが、感想としては今もおおむね同じでした。
それだけだと味気ないので、もう少し感想を加えてみます。
1.動画の全盛期にブログは意味があるのか
私が9年前の2015年にブログを始めた頃は、「ブログブーム」のようなものがあって、それは税理士業界でも同じだったように思われます。
当時、ブログをつけている税理士さんはたくさんいました。しかし今ではブログをつけている人は少なくなったように思われます。
人間に課せられた制限として、時間は1日24時間しかありませんので、どのようなことをするかは、本人が厳しく選別するしかありません。「ブログをやめる」という選択も当然に「あり」だと思います。
これに比べて増えたのは、Youtubeによる解説動画です。今は、ブログを始めるよりも、Youtubeで税務を解説するのがメインなのかもしれません。
私がその方法を採用しないのは、このブログが(自己満足的な)「研究」メインで専門的な知識を扱っていること、顔出しや声出しをしたくない、ということがあります。
ブログでは文字情報が蓄積されていきますので、これを検索することが可能ですが、動画では検索性に劣るという問題もあります。
文字で検索したときに、このブログがめずらしいことを伝えていて、記事が読まれることに意味があると考えています。
2.パクられても泣かない
当ブログで書いた内容は無料であり、誰でも読むことができます。また、ブログであり、論文ではありません。
こういうお気軽な公開形式が、読み手にとっては「フリー素材」に見えるのかもしれません。このため、書いた内容の骨子をパクられる、というのを何度か経験したことがあります。それも同業の税理士からのパクリです。
「被害妄想」と笑われるかもしれませんが、独自性のある内容を勇気を持っていくつか書いたところ、それがそのまま他の記事に同じ順番で書かれていたら、元の書き手としてはさすがに気づくものです。
パクる側も罪悪感があるのか、まるごとの転載ではなく「骨子」だけをうまく抽出して、そこに多少の見解を付け加えて、自分のオリジナルにしてしまうという巧妙さです。
論文を参照したら引用を付けるのは当然ですが、ブログは「フリー素材」のように考えられている節がありますので、ブログのオリジナル見解について引用を付けているのを見たことはほとんどありません。これは、私自身に権威がないのも原因なのでしょう。
ある他の税理士さんが、自分のブログの内容が他人のブログにまるごと転載されていたことに激怒されていたのを目にしたことがあります。この点を考えると、このようなことはめずらしくないのかもしれません。
こうした「マナー違反」「ラフプレー」にどう対処すべきかという話ですが、9年書いた経験としては「腹が立つけど、自分が書いた意見は他の人も納得させるものだった、と思って放置する」のが一番だと思います。
3.自己顕示欲とのバランスをどうとるか
9年間努めてきたこととして、「自分はこれだけのことを対処しているぞ、どうだ」「自分は実績のある人間だが、他の税理士はそんなことはできていない」「これだけの経験をしたぞ、すごいだろう」というようなことは、書かないようにしてきました。
そもそも、実績のある人間でもないですし、まだまだ道半ばの勉強中だと考えています。だから、このような研究ブログを続けています。
あからさまですが、ブログの書き手としては、自己顕示欲というのはどうしても生じます。顕示欲があるからこそ、わざわざ貴重な時間を割いて、ブログを書いているともいえるでしょう。
ただし、ブログを自己顕示欲の場にしてしまうと、「自分はもう実績のある人」→「旧世代」ということになってしまいそうで、気持ち的に怖い感じもします。自己顕示欲と謙虚さのバランスが難しいところがあると思います。
今後も丁寧に、知識を積み上げていくことをブログのポリシーとしています。自慢はなるべくしない、他人と比べることもしないことに気をつけていこうと思います。
ほかにもできるだけ書かないようにしてきたことには、「批判的なリーク記事」「リスペクトを欠いた批判」「(事前承諾のない)顧客からの相談事例」もあります。
4.コメント欄を閉鎖している理由
このブログでは一貫してコメント欄は設けていません。
私自身も、読者の方はこの記事を読んでどう思ったのか、間違った部分があれば指摘してほしい、という読者と交流したい気持ちもあるのですが、デメリットのほうが上回るのではと思ってあきらめました。
大半の読者の方は善良で親切なのでしょうが、悪意ある人、他人に厳しい人、冷たい人、リスペクトにとぼしい人、自分の自己顕示欲をコメント欄で発散しようとする人などもいます。このような方に接したときのストレスが強くデメリットになってしまうためです。
とくにこのようなブログは、読み手も専門家ですから、自分自身に自信を持った人が多いです。
話は変わりますが、昔、とある税理士会の研修に参加したところ、受講者と講師とのあいだで険悪な雰囲気の口論になる、というのを見かけたことがあります。
講師も受講者もどちらも税理士で、お互いに知識には自信があります。応答するうちに熱くなってしまい、自分の主張を引くことができなくなってしまったのでしょう。
このような口論がブログのコメント欄でも起こるとすれば、書き手としては強いストレスになるので、コメント欄は閉鎖しています。
興味をもってくださった方は、メッセージの送信からメッセージをお寄せいただければ、ありがたく読ませていただきます。もしくは、Xで意見を引用などでお寄せいただいても、その意見を発見できればありがたく読ませていただきます。
まとめ
以上、私が9年間で感じたこと、気をつけてきたことをブログのポリシー的に整理してみました。
昔と比べて、ありがたいことに仕事もそこそこ忙しくなり、ブログを書く時間も確保が難しくなり、更新は週1回程度に減りました。
また、このブログのテーマは「検索してみても情報が見つからなかったことを自分で調べる」ということも目標にしていますが、そのように都合よく新規のネタもそうそうは見つからず、ネタ出しが難しくなることも何度がありました。
ただし、そのような努力もあって、先進的な意見発信もいくつかあったように思います。
自己顕示欲的(笑)ですが、大騒ぎになる前から「電子取引」に関心をもっていたことや、最近ではインボイス制度の開始前からOTAとホテル間の請求書発行の問題を気にしていた、ということもありました。こうして考えると、このブログの目の付け所もそこまで悪くないのかも、と変な自信を持ちました。
(※注意 「電子取引」について参考になる情報がほとんど何もない2017年当時の記事なので、内容は稚拙です。手探り状態でモノを書くとはどういうことか、という意味でご参照ください)
今後も気力が続く限り、ブログを続けて行ければと思います。